1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 周司 東北大学, 理学部, 助教授 (00183129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (40132716)
中澤 高清 東北大学, 理学部, 教授 (30108451)
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Keywords | 二酸化炭素 / グリーンランド海 / フラックス / 交換係数 |
Research Abstract |
ノルウェー極地研究所の協力の下に採取された大気および海水サンプルを分析した。 4月から8月にかけての観測によると、グリーンランド海の表層海水中のCO_2分圧は東部で高く西部で低い空間分布が観測された。人工衛星の画像解析により、CO_2分圧のこのような分布は海水温の空間分布に対応していることが明らかになった。CO_2分圧の時間変動についても解析をおこなった。4月から5月初旬までのCO_2分圧は約300μatm程度でほぼ一定であったが、5月中旬に約170μatmまで急激に低下した。これは海洋生物の春のブルーミングによるものと考えられる。6月のバレンツ海のCO_2分圧は海氷のある77^°N以北で180μatm前後でばらついており、無氷海域では230〜270μatmであった。8月のグリーンランド海は平均260μatmであった。グリーンランド海やバレンツ海の観測から求められた大気と海洋間のCO_2分圧差ΔpCO_2の月平均値は、4月に約60 μatm、6月に最大値約110μatm、8月に約100μatmとなり、春期よりも夏期の方が大きい。その最大値は西太平洋中緯度で冬期に観測される最大値の約2倍となっている。一方、この海域における大気海洋間のCO_2の交換係数は、4月に大きく4.58×10^<-2>mol m^<-2> yr^<-1> μatm^<-1>、6月と8月に小さく1〜2×10^<-2>mol m^<-2> yr^<-1> μatm^<-1>と評価されている。したがって、ΔpCO_2と交換係数から導出されたグリーンランド海およびバレンツ海における大気-海洋間のCO_2フラックスは0.7〜2.8gC m^<-2> month^<-1>となり、4月に最大となった。また、両海域のCO_2の年積算取り込み量を概算すると、0.78〜3.3×10^<-2>GtC yr^<-1>となり、この海域は面積が全海洋面積の約0.1%でしかないにもかかわらず、全海洋のCO_2吸収量の数%を占めることが明らかになった。夏期にはグリーンランド海の表層水は非常に安定な成層をしているために、表層に取り込まれたCO_2は直接深層には運ばれないことも明らかになった。
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[Publications] 青木周司: "大気中における二酸化炭素濃度とその炭素同位体比の変動から見た地球規模炭素循環について" 環境科学会誌. 9. 509-517 (1996)
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[Publications] S. Aoki: "Carbon dioxide variations in the Greenland Sea" Memoirs of National Institute of Polav Research, Special Issue. (1997)