1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454113
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 周司 東北大学, 理学部, 助教授 (00183129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (40132716)
中澤 高清 東北大学, 理学部, 教授 (30108451)
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Keywords | グリーンランド海 / CO_2 / フラックス / 溶存無機炭素 / 炭素同位体比 |
Research Abstract |
グリーンランド海での海洋観測データを用いて、海洋中における炭素の分布と変動について考察をおこなった。海水中の溶存無機炭素nΣCO_2の鉛直分布は、両海域ともに100〜200m以深で一定値2.10〜2.15mmol kg^<-1>となっており、その炭素同位体比δ^<13>C値も100m以深で1.1〜1.2‰と一定になっていた。このことは、この海域の100〜200m以深での海水の鉛直混合が盛んであることを示している。海氷のない海洋表層では深層に比べてnΣCO_2が減少しており、δ^<13>は逆に増加していた。その表層でのnΣCO_2とδ^<13>の関係を見ると-9.21〜-11.9‰(mmol kg^<-1>)^<-1>となり、全球平均の変化率-8.8‰(mmol kg^<-1>)^<-1>よりも急勾配になっていた。したがって、この海域の海洋生物は溶存無機炭素を取り込む際に比較的強い同位体分別を行っていることが明らかになった。一方、海氷のある海域は北極海を起源とする海水の流入があるために、nΣCO_2は下層に比べて表層の方が高いことが分かった。 大気-海洋間のCO_2分圧差を求め、また風速データから交換係数を計算することによって、この海域のCO_2フラックスを定量的に求めた。この海域における大気-海洋間のCO_2フラックスは0.7〜2.8gCm^<-2>month^<-1>となり、4月に最大となった。また、両海域CO_2の年積算取り込み量を概算すると、0.78〜3.3×10^<-2>GtCyr^<-1>となり、この海域は面積が全海洋面積の約0.1%でしかないにもかかわらず、全海洋のCO_2吸収量の数%を占めるこたが明らかになった。
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[Publications] S.Aoki: "Carbon dioxide variations in the Greenland Sea" Memoirs of National Institute of Polar Research,Special Issue. 51. 299-306 (1996)
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[Publications] T.Nakazawa: "Temporal and spatial variation ofthe carbon isotopic ratio of atmosphericcarbon dioxide" J.Geophys.Res.102. 1271-1285 (1997)
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[Publications] S.Wessel: "Aerosol and ozone observations inthe polar troposphere at Spitsbergen in spring 1994" Atomos.Res.44. 175-189 (1997)
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[Publications] 青木周司: "大気中における二酸化炭素濃度とその炭素同位体比の変動から見た地球規模炭素循環について" 環境科学会誌. 9. 509-517 (1996)