1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454120
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金川 久一 千葉大学, 理学部, 助教授 (40185898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 紀子 千葉大学, 理学部, 助手 (00272302)
高橋 奈津子 千葉大学, 理学部, 助手 (50261897)
廣井 美邦 千葉大学, 理学部, 教授 (40019427)
伊藤 谷生 千葉大学, 理学部, 教授 (50111448)
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Keywords | マイロナイト / 延性剪断変形 / 化学反応 / 花崗岩 / カンラン岩 |
Research Abstract |
今年度は、阿武隈山地畑川破砕帯東縁部の花崗岩マイロナイトと、日高山脈ウェンザルカンラン岩体のレールゾライトマイロナイトについて、その形成過程と形成条件を詳細に解析し、以下の成果を得た。 1)畑川破砕帯東縁部の花崗岩マイロナイトでは、長石の化学組成とマイロナイト化に伴うモード組成変化から、マイロナイト化に伴い、カリ長石+斜長石→ミルメカイト(アルバイト成分に富む斜長石+石英)+正長石成分に富む細粒カリ長石、というミルメカイト生成反応が進行している。この反応は変形によって促進されることが知られている。二長石温度計により、ミルメカイト斜長石と細粒カリ長石の化学組成から、圧力3kbを仮定した場合、マイロナイト化していない強変形花崗岩で約400℃、ウルトラマイロナイトで約350℃という反応温度が得られた。全岩化学組成は、カリ長石に富み黒雲母に乏しい優白質な花崗岩やアプライト脈でマイロナイト化が進行したことを示している。このような優白質な領域では、変形時にミルメカイト生成反応が周囲より活発に起こり細粒の反応生成物も多く生じる。従って、周囲より反応軟化が促進されて変形が進行し、さらにミルメカイト生成反応が促進される。このようなフィードバック機構によって、優白質な花崗岩でマイロナイト化が進行したと結論できる。 2)ウェンザルカンラン岩体のレールゾライトでは、斜方輝石+単斜輝石+スピネル→斜長石+カンラン石+クロムに富むスピネル、というスピネルレールゾライト→斜長石レールゾライトへの相転移反応が起こり、反応によって生じたシンプレクタイトに変形が集中して、マイロナイトが形成された。輝石と斜長石の化学組成から、このレールゾライトは、スピネルレールゾライト領域において980℃以上の温度で12kb→8kbまで減圧上昇した後、760℃以下の温度まで急冷したことが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kyuichi Kanagawa: "Simulated pressure fringes,vorticity and progressive deformation" D. G. De Paor編"Structural Geology and Personal Computers" (Elsevier Sience). 259-283 (1996)
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[Publications] 金川久一: "摩擦特性に対する圧力溶解の影響:実験的アプローチ" 嶋本利彦・早坂康隆・塩田次男・小田匡寛・竹下徹・横山俊治・大友幸子編"テクトニクスと変成作用"(創文出版). 304-313 (1996)
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[Publications] Tanio Ito,Takeshi Ikawa,Satoshi Yamakita and Takuya Maeda: "Gently north-dipping Median Tedtonic Line (MTL) revealed by recent seismic reflection studeis,southwest Japan" Tectonophysics. 264・1-4. 346-360 (1996)
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[Publications] 廣井美邦・小林栄一: "阿武隈高原南端部に分布する西堂平泥質変成岩中の紅柱石-藍晶石-珪線石集合体の成因と温度-圧力経路" 岩石鉱物鉱床学会誌. 91・6. 220-234 (1996)
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[Publications] Natsuko Takahashi: "Incipient melting of mantle peridotites observed in the Horoman and Nikanbetsu peridotite complexes,Hokkaido,northern Japan" 岩石鉱物鉱床学会誌. 92・1. 1-24 (1997)
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[Publications] Noriko Tsumura,Akira Hasegawa and Shigeki Horiuchi: "Simultaneous estimation of attenuation structure,source parameters and site response spectra-application to the northeastern part of Honshu,Japan" Physics of the Earth and Planetary Interiors. 93・1-2. 105-121 (1996)
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[Publications] 平朝彦・末広潔・廣井美邦・巽好幸・高橋正樹・小屋口剛博・嶋本利彦: "岩波講座地球惑星科学6"地殻の形成"" 岩波書店, 260 (1997)