1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454134
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60128056)
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Keywords | マグマ溜り / デイサイト / boundary layer / 暗色包有物 / 斑晶 / 雲仙普賢岳 / 非平衡組織 / recycling |
Research Abstract |
マグマ溜りで結晶作用は溜りの天井や壁などのboundary layerでおこる.そこでは壁に付着する結晶と軽いメルトの分離がおこり,マグマ溜りの壁には細粒の結晶が濃集した「急冷縁」とその内側にメルトを含むcrystal mushが形成されると考えられる.溶融が進行する場合にはcrystal mush部に融け残った急冷縁や壁岩の結晶が混ざると予熱される.このように,急冷縁が生じたり壁岩が融けながらmushy layerが常に存在するため,結晶量の異なるマグマが常に共存する.また,一端boundary layerで晶出した結晶や壁岩の溶け残った結晶のrecyclingが頻繁に起こり、結果的に非平衡な結晶の組み合わせや複雑な組織を持った結晶が形成される.このようなマグマ溜りがたどる熱史を岩石学的に理解するには,噴火活動の時間軸が明瞭である雲仙普賢岳の試料を用いることが不可欠である.普賢岳噴火の溶岩はシリカでわずかの時間変化を示し,それは溶岩の斑晶量の変化を反映している.すなわち,斑晶に富んだ溶岩はよりシリカに乏しく,噴出率が高い場合にはマグマ溜りからより無斑晶質のマグマが絞り出され,噴出率が低い場合には斑晶の多いマグマが絞り出されたと考える.これは地下に斑晶量の異なるマグマが同時期に存在したことを示しており,マグマ溜りの空間的な結晶量のばらつきを反映している可能性がある.ここでは,異種のマグマの混合を採用せずとも,マグマ溜りの熱史に伴う複雑なマグマ過程を考慮することによって,デイサイト溶岩中に見られる斑晶の不均一な組織や組成分布,および,暗色包有物の存在が無理なく説明できることを示した.
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[Publications] 中田節也: "溶岩ドーム噴火の特徴と普賢岳ドームの成長モデル." 地質学論集. 46号,. 139-148. (1996)
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[Publications] 中田節也: "溶岩ドームの噴火の多様性." 地学雑誌. 105巻,. 244-248. (1996)
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[Publications] 中田節也: "雲仙普賢岳噴火-噴出率,ドーム成長様式,溶岩組成の関係-." 月刊地球. 号外15号. 64-69. (1996)
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[Publications] 谷口宏充・中田節也 ほか: "普賢岳火砕流の物理計測の試み." 月刊地球. 号外15号. 112-117. (1996)
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[Publications] 谷口宏充・荒牧重雄 ほか: "火砕流の温度と火山災害." 伝熱研究,. 96年10号,. 11-20. (1996)
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[Publications] 渡辺公一郎・渡辺一徳 ほか: "マグマの挙動を予測する火山灰モニタリング-九重火山1996年噴火の場合-." 自然災害科学研究西部地区会報,. 20号,. 123-128. (1996)
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[Publications] 中田節也: "東京大学公開講座「防災」.雲仙噴火と火山災害." 東京大学出版会,37-68. (1996)