Research Abstract |
本研究は、隕石形成時に捕獲した始源的希ガス成分の組成が未だによく分かっていないエコンドライト、特にHED隕石や石鉄隕石の希ガス組成を調べて、比較的良く分かっているコンドライトの希ガス組成と比較検討することにより、エコンドライト形成の歴史を解明することを目的としている。とりわけ、エコンドライトの捕獲成分としてU-Xeが存在するか否かは、太陽系形成史に直接関わる重大問題である。 このため、捕獲希ガス成分が純粋な形で観測される試料の選択が研究の成否を左右する重要な要因となる。本年度は、研究に良好な条件をもつ試料の選択を兼ねて以下のような多数のユ-クライト、ダイオジェナイト、パラサイトに属するエコンドライト隕石を段階加熱法などを併用して測定した。Willbillillie,Camel Donga,Juvinas,Tatahouine,Stannern,Bereva,Binda,Johnstown,ALH77256,ALH77302,ALH78040,ALH78132,EET83227,EET87524,EET87548,EET92003,HOW88401,PCA82502,PCA91006,PCA91007,JAP91900,Y-75011,Y-79002,Y-971192,Y-791195,Y-791826,Y-792510,Y792511,Y-792769,Y-793164,Y-793547,Y-793548,Y793570,Y-794002,Y-794043,Y82049,Y-82052,Y-82066,Y-82082,Brenham (silicate and metal),Brahin,Esquel,Mt.Vernon。 この結果、良好な試料としてTatahouine,Brenham,Esquelなどが候補に挙がるとともに、エコンドライトの捕獲Xe成分の同位体組成ハコンドライトの組成と異なり、U-Xe又はSolar-Xeに類似しているとともに、重希ガス(Ar,Kr,Xe)の相対存在比もコンドライトと異なる結果が得られている。これらは、太陽系初期の天体形成過程に対する重要な制約条件を課すものである。
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