1995 Fiscal Year Annual Research Report
マスフィルタとサブミリ波分光器を組合わせた測定系による高温分子種の構造の解明
Project/Area Number |
07454150
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
谷本 光敏 静岡大学, 理学部, 教授 (40207197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡林 利明 静岡大学, 理学部, 助手 (70224045)
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Keywords | マスフィルタ / マイクロ波分光 / サブミリ波 / 高温分子 / 不安定分子 / ラジカル |
Research Abstract |
今年度分子量400までの分子の質量スペクトルを測定できる質量分析計(マスフィルタ)を購入し,それをプラズマ生成系と結合した.プラズマ生成系としては熱分解あるいは放電により不安定分子を発生させる装置を作製した.これは直径10cm,長さ1mのバイレックス管の出口付近に直径25mmの枝管をガラス管の両側に1本ずつつけたものである.枝管のうち1本はトラップ,ポンプを介して排気するためのもので,大部分の気体試料はこちらを通過する.他の1本の枝管はマスフィルタに連結するためのものである.マスフィルタへのガス導入口は当初比較的寿命の長い分子を対象として設計していたが,マイクロ波分光器の周波数の高周波数化により,感度の著しい向上が可能となったので,できるだけ短寿命の分子種についても検出できるようにガス導入口の設計を変更した.すなわち,当初予定していたリ-クバルブ方式ではなく,小孔径のピンホールを使うオリフィスバルブ方式を採用することとした.これによりプラズマ系からマスフィルタ系への気体の流れに屈曲がなくなり,導入時の壁との衝突が減少するので,活性な分子でもマスフィルタ内にとりこんで質量スペクトルを測定することが可能となった。また,短寿命分子種を対象とするため,ポンプをターボポンプとし,さらにハロゲンなどの原子を含む系を扱うことが予想されたので,ポンプの表面を化学加工したものを利用することにした.排気系は停電などの事故の場合には自動停止し,系内の圧力を低圧にたもったまま,外側部分は大気圧に戻すような安全対策をとった. サブミリ波分光器の面では電極に含まれる金属原子のスパッタリングにより気相中にとびだした金属と系内に導入したハロゲン原子との反応で生成した含金属多重項ラジカルの検出を行なった.スパッタリングを行なう分子としては蒸気圧が高くない分子(例えば三塩化アルミニウム)を用いるのが有効であることを見出した.この方法でFeCl(^6Δ_i)のスペクトルを観測した.この分子においてはCrClの場合と同じく,塩素核の四重極子モーメントによる吸収線の分裂は認められず,結合はイオン性が高いものと思われた.また,ハロゲンを含む分子として,NBr,NIのスペクトルを観測し,四重極モーメントから,結合のイオン性を検討した.さらにBBr_3の放電により短寿命分子種BBrを検出した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Oike: "Laboratory millimeter‐wave spectrum of chromium monochloride" Astrophys. J.445. L67-L68 (1995)
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[Publications] M.Ishiguro: "Microwave spectroscopic study on silicon monobromide cation" J. Mol. Struct.352/353. 317-323 (1995)
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[Publications] M.Tanimoto: "Microwave spectrum of FeCl radical in the electronic ground ^6Δ_i state" Chem. Phys. Letters. 242. 153-156 (1995)
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[Publications] T.Okabayashi: "Rotational spectra of isotopic species of FCCCN and its molecular structure" J. Mol. Spectrosc.174. 595-598 (1995)