1996 Fiscal Year Annual Research Report
マスフィルタとサブミリ波分光器を組合わせた測定系による高温分子種の構造の解明
Project/Area Number |
07454150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
谷本 光敏 静岡大学, 理学部, 教授 (40207197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡林 利明 静岡大学, 理学部, 助手 (70224045)
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Keywords | マスフィルタ / マイクロ波分光 / サブミリ波 / 高温分子 / 不安定分子 / ラジカル |
Research Abstract |
1.マスフィルタによる高温分子種の同定 前年度に製作した分子量400までの分子の質量スペクトルを測定できる質量分析計(マスフィルタ)を熱分解あるいは放電により不安定分子を発生させる系と連結し,その性能を検討した。無水マレイン酸は500℃程度に加熱すると,一酸化炭素および二酸化炭素を発生し,有機物としてはアセチレン分子を生成することが知られている。そこで固体の無水マレイン酸をパイレックス管にいれ,その管をリボンヒーターで加熱した。分解生成物をマスフィルタに引き込むことにより、系内に生成した分子を同定した。二酸化炭素の脱離によりプロパジエノンに相当する分子量の分子が生成した。温度とともに生成物の量がどの様に変化するかを明らかにできた。また、最近光電子スペクトルが報告されたシアン化チアジルの生成を試みた。 2.サブミリ波スペクトルの観測 サブミリ波分光器の面では電極上に散布した金属粉末のスパッタリングにより気相にとび出した金属と系内に導入したハロゲン原子との反応で生成した含金属多重項ラジカルの検出を行なった。Cr粉末およびNi粉末を金属源として、CF_4を流しながらグロー放電させることにより、CrF(X^6Σ^+)およびNiF(X^2Π)の回転スペクトルを観測した。前者についてはスピン-スピン相互作用およびスピン一回転相互作用に対する電子励起状態の寄与を検討した。NiFではそのΛ型二重項分裂の回転準依存性から、サブミリ波スペクトルを与えた分子の電子状態が^2Π_<3/2>であることを明らかにした。また、この分裂が他の分子にくらべて非常に大きいことを示した。さらに、BBr_3と酸素の混合気体のグロー放電により短寿命分子種BrBOの回転スペクトルを初めて観測した。
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Research Products
(1 results)