1996 Fiscal Year Annual Research Report
カルボニル求核付加反応の経路:中間体、遷移状態と選択性
Project/Area Number |
07454167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山高 博 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60029907)
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Keywords | カルボニル化合物 / 求核付加反応 / 電子移動 / 極性機構 / 同位体効果 / 置換基効果 / 有機リチウム試剤 |
Research Abstract |
芳香族アルデヒドやケトンの求核付加反応には1段階で進む極性機構(PL)と一電子移動により開始され、ラジカルイオン中間体を経由して2段階で進む機構(ET-RC)の二つの反応経路がある。本研究では、比較的単純なアルキルリチウム試剤(MeLi、PhLi、CH_2=CHCH_2Li)に加え、アルキルリチウムにカルバニオンを安定化するような置換基を導入し、その求核性を変化することにより反応機構がどのように変化するかを調べる目的でフェニルチオメチルリチウム、シアノメチルリチウム、およびピナコロンエノラートとベンゾフェノン、ベンズアルデヒドとの反応を検討した。反応経路の解析は、反応速度同位体効果、置換基効果、エノンの異性化および脱ハロゲン化プローブ実験などの結果を総合して行った。その結果、ピナコロンエノラート以外のリチウム試剤の反応は電子移動を経由して反応し、ET過程が律速の機構で進行するのに対し、ピナコロンエノラートでは極性機構で反応が進むと結論できた。 リチウム試剤の安定性を炭素アニオンの共役酸の酸性度で評価すると、この反応機構の変化とリチウム試剤の安定性との間に相関関係のあることがわかる。気相におけるプロトン解離平衡のΔHは、CH_3-H、Ph-H、CH_2=CHCH_2-H、PhSCH_2-H、NCCH_2-H、および(CH_3)_3C(C-O)CH_2-Hについて416.8、400.8、390.8、381.6、372.8、および368.1kcal/molとなり、共役酸の酸性度が高く求核試剤として安定になると一電子移動を経る機構から極性機構へ変化するものと考えられる。このことは、電子移動過程の方が極性付加過程よりも求核剤の反応性により敏感であることを意味しており、化学反応性を支配している要因を理解する上で、興味深い。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Yamataka: "Detection and Reaction of Oxaphosphetane Derived from Banzaldehyde and Adamantylidene Ylide" Journal of Organic Chemistry. 61. 722-726 (1996)
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[Publications] S.Kobayashi: "Stability-Reactivity Relation on the Reaction of β,β-Disubstituted Vinyl Cations with Ethanol" Journal of Organic Chemistry. 61. 5274-5279 (1996)
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[Publications] H.Yamataka: "Stereoelectronic Effects in the Nucleophilic Addition to the sp-Hybridezed Carbon of a Ketene and Vinyl Cation : When is a Mesityl Effectively Smaller than a Phenyl Ring?" Journal of the American Chemical Society. 118. 12580-12587 (1996)
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[Publications] H.Yamataka: "Kinetic Isotope Effects for Addition of Lithium Pinacolone Enolate toBenzaldehyde" Chemistry Letters. (In press). (1997)