1995 Fiscal Year Annual Research Report
メスバウアー分光法によるグラファイト層間化合物における鉄原子の動的振る舞い
Project/Area Number |
07454180
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安部 文敏 理化学研究所, 核化学研究室, 主任研究員 (50087491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片田 元己 東京都立大学, 理学部, 教授 (20094261)
小林 義男 理化学研究所, 核化学研究室, 研究員 (30221245)
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Keywords | インビーム・メスバウアー分光 / グラファイト / 層間化合物 / 拡散現象 / 層間距離 |
Research Abstract |
理化学研究所AVFサイクロトロンのビームラインに、我々が設計したインビームメスバウアー分光装置を設置し、排気システムによる真空試験を行った。また、パラレル・プレート・アバランチェ・カウンター(PPAC)を自作し、ファーストパルス計測モジュールとメスバウアー線源を用いて検出器の性能試験を行った。 第1回マシンタイム(平成7年7月)で、実験装置の計測・制御システムのテストと最適化をし、同時に理研加速器スタッフと協力して、加速器のビーム性能の調製と向上を計った。その結果、本実験に十分なビーム強度やパルス繰り返し時間の調整と最適化には、今後もさらに努力していく必要性が認められたが、実験装置の計測・制御システムに関しては満足できる性能を示し、本実験装置によりインビームメスバウアースペクトルの観測が十分可能であることを確認した。第2回のマシンタイム(12月)では、アモルファスグラファイトを測定試料として実験を行い、100Kで速度領域ゼロmm/s付近と-2mm/sに吸収ピークを示すメスバウアースペクトルを得ることができた。ゼロmm/s付近のピークは線幅が広く、注入された鉄原子が試料中でジャンプしていることが示唆される。また、これまでに報告されたことのない速度領域でも吸収線が観測された。 今後は、異方性の高い平面構造をもつHOPGや層状化合物での孤立原子の動的挙動に関する実験を行う予定である。
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