1996 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物細胞の多分化能獲得と分化能限定化の分子機構
Project/Area Number |
07454215
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 裕穂 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10165293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出村 拓 東北大学, 理学研究科, 助手 (40272009)
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Keywords | DNase / アンチセンスDNA / 遺伝子導入 / ブラシノステロイド / ヒャクニチソウ / 管状要素 / 細胞死 / 分化転換 |
Research Abstract |
1.分化中期の解析:TED3アンチセンスDNAをヒャクニチソウの葉に導入し、そこから形質転換根を誘導した。このうち、内生のTED3mRNAの発現が抑制されているクローンでは、すべて、道管細胞をはじめとする細胞の伸長が抑制され、根全体の成長が著しく抑えられていた。このことから、TED3タンパク質は道管細胞を伸びやすくする性質を持つタンパク質であると予想された。昨年単離した7種のMyb相同遺伝子のcDNA断片をもとにそれぞれに相当する遺伝子の分化過程での発現パターンの解析を行った。その結果、5種類の遺伝子は形態変化と関連して発現が上昇することが示唆された。このうち、分化に関連すると考えられるクローンZemyb4の全長のcDNAを単離した。 2.分化後期の解析:昨年度単離した部分DNasecDNAをもとに、オオムギとヒャクニチソウの全長のDNasecDNAを単離した。これらのアミノ酸配列のホモロジー検索から、これらのcDNAがいずれもS1タイプのヌクレアーゼをコードしていることが明らかになった。これらのmRNAは細胞死過程で特異的に発現していることが分かり、S1タイプのヌクレアーゼが植物細胞の自己分解過程で共通して働いていることが示された。 3.分化中期から後期への移行:管状要素分化過程で発現する様々な遺伝子に対するウニコナゾールの作用を調べた。その結果、ウニコナゾールは分化過程前期・中期で発現する遺伝子にはほとんど影響を与えず、リグニン合成や自己分解などの分化後期特異的遺伝子の発現を阻害した。ウニコナゾールによる分化後期遺伝子の発現阻害はブラシノライドを投与することにより回復した。したがって、内生ブラシノステロイドが、分化後期の遺伝子の発現誘導を通して分化の後期への移行に深く関与していることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Sato,Y.: "Changes in the acitivity and mRNA of cinnamyl alcohol dehydrogenase during tracheary element differentiation in Zinnia elegans." Plant Physiology. in press (1997)
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[Publications] Demura,T.: "In situ Hybridization to cellular RNA using ^<35>S-labeled cRNA probes." Plant Tissue Culture Letters. 13. 343-349 (1996)
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[Publications] Yoshimura,T.: "Differential expression of three genes for different β-tubulin isoforms during the initial culture of Zinnia mesophyll cells that divide and differentiate into tracheary elements." Plant Cell Physiology. 37. 1167-1176 (1996)
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[Publications] Sato,Y.: "Purification and characterization of a mitochondrial DNA polymerase from cultured tobacco cells." Plant Cell Physiology. 37. 989-995 (1996)
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[Publications] Fukuda,H.: "Xylogenesis:Initiation,progression and cell death." Annual Review of Plant Physiology and Plant Molecular Biology. 47. 299-325 (1996)
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[Publications] 南 淳: "道管形成における細胞死の機構" 組織培養. 22. 3-7 (1996)
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[Publications] 福田裕穂: "高等植物におけるプログラム細胞死" 化学と生物. 34. 586-594 (1996)
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[Publications] 福田裕穂: "道管の形成" 遺伝. 50. 46-50 (1996)