1996 Fiscal Year Annual Research Report
複合葉緑体の起源とそれを持つ植物の分子系統学的解析
Project/Area Number |
07454232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原 慶明 山形大学, 理学部, 教授 (60111358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 健一郎 山形大学, 理学部, 助手 (30282198)
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Keywords | 複合葉緑体 / クロララクニオン藻 / 細胞内共生 / 葉緑体の起源 / elongation factor I / 分子系統解析 / Lotharella / Euglypha rotunda |
Research Abstract |
本年度の研究対象をクロララクニオン植物の複合葉緑体に関する研究に絞った。特に葉緑体の起源となる生物:共生体となったと考えられる生物を特定するため、原核生物から真核生物まで持っているEF-TU(elongation factor I)遺伝子の塩基配列をアミノ酸に翻訳した分子系統解析を行った。同時に宿主となる生物の特定も18SrDNAの分子系統解析も行った。その結果、これまで光合成色素組成の類字から、葉緑体の起源となる生物はプラシノ藻と予想していたが、プラシノ藻はミドリムシ藻の葉緑体と強い類縁性を示し、クロララクニオン藻の葉緑体は緑藻類のハネモと類縁性を示した。宿主に関しては原生動物・根足虫類のEuglypha rotundaあるいはCercomonas sp.と近縁な生物が起源であろうと判明した。この成果は論文として纏め、Journal of Molecular Evolutionに投稿した。一方、クロララクニオン藻の培養株をさらに収集するため、日本沿岸各地(瀬戸内海と日本海を中心に)で採集を行った結果、山形県酒井市の飛島からLotharella属の1種を単離した。さらに、一昨年より複合葉緑体獲得の機構について、現在までの知見を細胞内共生現象に的を絞って、考察してきた。それを「生物の種多様性」(馬渡・岩槻編、裳華房)に寄稿し、同時に国際高等研究所のシンポジムで発表した。共同研究者の石田はカナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学のCavarier-Smith教授のもとに留学し、複合葉緑体の外側の2重膜(核膜から侵出した粗面小胞体)の単離と性質の研究に従事することになり、平成8年10月に渡加した。彼からの連絡によると、膜の分離に成功し、現在は膜の透過性について調査を進めているとのことである。以上の主たる研究の他に、複合葉緑体を有する藻群の研究として、淡水産ラフィド藻の系統分類と葉緑体との関係について、研究し、その成果を日本藻類学会大会(広島)で発表する予定である。
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[Publications] Uchida H.,Hara Y.et al.: "DNA quantification of nuclei and nucleoids in gametis of Ulva pertusa." Cytologia. 61. 63-67 (1996)
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[Publications] Ishida K.and Hara Y.: "Taxomomic studies on the Chlorarachnio phyta.II. Genetic delimitation of the chlorarachnit phytes and dcsoription of Gynonschlora stella to a ---" Phycological Research. 44. 37-45 (1996)
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[Publications] Karsten U.Hara Y.et al.: "Osmoprotocton in some species of Japanese mangerove macroalgae" Phycologyical Research. 44. 109-112 (1996)
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[Publications] Kamiyo M.Hara Y.et al.: "Comporative morphology. Crossability,and taxomony within the Cologlossor continur (Peloseronese,ahotophyta)" Journal of Phycology. 33(1). 97-105 (1997)
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[Publications] 原 慶明: "チノリモ類" 植物の世界. 141. 282 (1996)
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[Publications] 原 慶明: "生物の種多様性(細胞内共生が種子植物の類縁と系統分担執筆 125-148" 裳華房, 342 (1996)
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[Publications] Hailegracff.G.M.and Hara Y.: "Manual on harmful marine micro algae (分担 365-371)" UNESCO, 551 (1996)