1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454234
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 正文 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (40101240)
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Keywords | 両生類 / 系統分類学 / ミトコンドリアDNA / チトクロームb / アカガエル科 / アカガエル属 |
Research Abstract |
7年度には、ヨーロッパアカガエル群のうち、日本に分布するすべてのタクサについて、従来より範囲を広め、ミトコンドリアDNAの解析を行なった。すなわち、チトクロームb遺伝子全塩基対の約半分に当たる600塩基対について配列を決定、それに基づいた系統関係の推定を行なった。この結果を国際誌に投稿したところ、受理され8年中に印刷予定である。この研究所により、従来タゴガエルの亜種とされてきているオキタゴガエルがミトコンドリアのチトクロームb遺伝子において、著しい遺伝的分化を進めていることが明らかとなった。また、現在は地理的に遠く、対馬と奄美・沖縄とに隔離されているツシマアカガエルとリュウキュウアカガエルが、日本産アカガエル類の他の種より先に分化したことなどの新しい知見が得られた。 さらに、中国産のヨーロッパアカガエル群のカエル類についても、ほとんどの種の組織を入手し、現在、ミトコンドリアDNAの精製中である。このうち、泰伶山脈産のチュウゴクアカガエルについては、すでに300対ほどの配列を決定し、日本産のヤマアカガエル、エゾアカガエルなどと比較した結果、それらとはかなり異なることが判明した。この結果は形態学的解析の結果と良く一致するもので、現在投稿準備中である。 もう一方で、東アジア、東南アジア産のアカガエル科の代表属についても、ミトコンドリアDNAの精製を終わり、塩基配列決定の作業に入っている。これにより、ヨーロッパアカガエル群よりも、高次元でアカガエル類の系統関係の解明ができるであろう。
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