Research Abstract |
本研究の目的は,金属/半導体界面におけるショットキー障壁高さの決定要因を微視的界面状態の観点から解明するとともに,障壁高さを制御するための手法を確立することである.具体的には,エピタキシャルシリサイド/Si界面における結晶学的および電子的構造と電気的特性との相関を明らかにすることでショットキー障壁高さを支配している物理的本質を捕らえ,さらに界面組成や多層界面の形成などの局所的微細構造の導入による障壁高さの制御を検討する.平成7年度は,Hf_3Si_2,CoSi_2,FeSi_2についてSi(100)面上へのエピタキシャル成長条件を明らかにし、界面構造やショットキー障壁高さ,電子状態などについて調べた. 得られた主な結果は,以下の通りである. (1)Hf/Si(100)系においては,460〜580℃の温度範囲において,界面にHf_3Si_2がエピタキシャル成長する.エピタキシャル方位関係は,Hf_3Si_2(110)||Si(001),Hf_3Si_2[001]||Si[110]である.またこのときのショットキー障壁高さは,n-Siに対して0.46eVであり,この値はHfSiの0.50eVおよびHfSi_2の0.53eVに比較して小さい.すなわち,金属リッチなシリサイドの方が,障壁高さが小さくなることが結論できる. (2)Co/Si(100)系においては,530℃の熱処理により,極めて平坦なCoSi_2(100)層がSi(100)面上に形成できる.従来,CoSi_2エピタキシャル成長膜にはピンホールが発生し,良質な膜が形成しにくいことが報告されていたが,熱処理条件の最適化により,極めて平坦な膜が成長できることが明らかとなった.また,この膜の局所状態密度をトンネル分光法により調べた結果,バルクCoSi_2で予測された状態密度に良く一致することが確認された. (3)Fe/Si(100)系については,低温熱処理によりγ-FeSi_2が,高温熱処理によりβ-FeSi_2がエピタキシャル成長することが確認されたが,膜の均一性に極めて乏しい.この理由については,現在検討中である.
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