1996 Fiscal Year Annual Research Report
高周波スパッタ蒸着法による多結晶半導体およびダイヤモンド薄膜の低温成膜
Project/Area Number |
07455065
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芳井 熊安 大阪大学, 工学部, 教授 (30029152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 弘章 大阪大学, 工学部, 助手 (10233660)
安武 潔 大阪大学, 工学部, 助教授 (80166503)
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Keywords | Si薄膜 / 多結晶 / 低温成膜 / 高周波スパッタ蒸着法 |
Research Abstract |
本研究は、簡便な成膜法として普及している反応性高周波スパッタ蒸着法においてプラズマ中の中性ラジカルを積極的に利用し、本来非晶質半導体薄膜しか成長しないような低温基板上に多結晶半導体薄膜を成長させようとするものである。中性ラジカルのエネルギーは、基板表面での薄膜材料原子のマイグレーションを促進、核形成、結晶成長に大きく寄与すると考えられる。しかし、プラズマ中のイオンが基板に入射すると、核形成や結晶成長等に悪影響を及ぼすため、基板に阻止電位を印加すること、および、プラズマが直接基板に接触しないようにア-ス電位の金属メッシュで基板をプラズマから隔離することによって、基板へのイオンの入射の抑止を試みてきた。 本年度は昨年度に引き続き、Si薄膜を作製し、成長させた膜の断面を透過電子顕微鏡により観察するとともに、水素ラジカルが結晶粒の成長に及ぼす影響について検討した。また、赤外線吸収測定により、作製したSi薄膜中の水素量および水素の結合状態を評価した。その結果得られた研究実績の概要を以下に列挙する。 1.得られた多結晶Si薄膜の結晶粒は、(110)面に配向して成長していることが分かった。この傾向は、成膜プラズマ中の水素量が多いほど顕著であった。 2.成膜プラズマ中の水素量が多いほど、多結晶Si膜中の含有水素量は多くなるが、増加分は膜中のダングリングボンドを効率よく終端し、膜の電気特性が向上することが分かった。 3.昨年度および本年度の研究結果から、低基板温度における多結晶Si薄膜の成長過程において、水素ラジカルは、成長表面を適度に被覆することによるSi原子のマイグレーションの促進、結合および離脱の繰り返しによる構造緩和エネルギーの供給などの効果を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)