Research Abstract |
遠心圧縮機の入口案内翼で発生する不安定流れを解明するため,本研究では,圧縮機入口案内翼に相当する環状翼列による実験を行い,熱線流速計による流速分布の測定,アルゴンイオンレーザ可視化装置を用いたレーザシート法による流れの可視化,流路壁面に設けた小型圧力変換器による圧力変動の測定を行った.これらの実験データを用い,流れの変動の発生位置,変動の形態(周波数,振幅等)の解明,原因の追求を行った.この結果,(1)旋回流発生用案内翼の半径方向から計った取り付け角が,30度以下では異音を伴う流れの変動は生ぜず,50度以上で変動が生ずる,(2)旋回流の不安定性を抑制するための心棒の有無は,流れの変動の発生には関与しない,(3)案内翼の翼幅及び翼弦長は,流れの変動に影響しない,(4)変動の周波数は流速にほぼ比例する,(5)流れの変動のストローハル数は,ある条件の範囲ではレイノルズ数によらず一定である,(6)流れの変動の発生には翼面からの剥離が関係していると推察できる,(7)変動の生じている状態では,案内翼後流の流れ方向の変動が顕著である,(8)変動はいわゆる旋回失速とは逆方向に伝播している,この等が明らかになった. 次に,特定周波数成分が卓越した流れの変動の発生原因とその発生を抑制する方法を研究するため,流れの数値解析を行った.この結果,案内翼取り付け角が60度の場合,実験に対応するものと考えられる圧力変動を捕らえることに成功した.計算精度は未だ十分とは言えないが,不安定流れを予測する計算モデルの構築の端緒を開いたと言える. これらの研究成果の一部を,日本ガスタービン学会秋季講演会(1996.11)で発表した.
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