Research Abstract |
平成9年度は,希土類としてEr,Yb,Ndの他に,Hoを研究の対象とし,母材半導体としては,多孔質シリコン(PS)とともに,単結晶シリコン(c-Si)を用いた. Er-ドープPSのEr 4f電子遷移に基づく1.54μm発光スペクトルは,従来,10nm程度の幅広いスペクトルが得られていたが,今回,水素プラズマ処理を1000℃程度の高温で行う方法を考案し,半値幅が1nm以下の鋭いピークにより構成されるスペクトルを得た.これは,水素プラズマ処理により,シリコン酸化膜,非晶質シリコンがエッチングされ,シリコンナノクリスタル内のErからの発光が得られたためである.また,温度消光が小さく,これは,微結晶化による実効的バンドギャップの増加によることを明確に示した研究として,重要である.(1997年秋の米国のMRS学会発表,J.Appl.Phys.に投稿中). YbドープPSのYb〜1.0μmの発光を,母材PSの処理の違いについて調べた.酸化処理したPSを用いることにより,未酸化処理PSを用いる場合に比べてYb発光強度が1桁以上増加することを見い出した.PS,Ybの発光の時間減衰の測定結果から,PSのダングリングボンドの酸素終端が,PS中の非発光再結合中心を大幅に減少させ,PSからYbへのエネルギー伝達効率を増加させたことがYb発光強度の増加の理由であることを明らかにした(J.Appl.Phys.vol.^<**>に発表). さらに,NdドープPSのNd 4f電子遷移による0.93μm,1.06μmの発光の時間減衰が200-300μsであることを明らかにした.また,アムステルダムのFOM研究所のDr.A.Polmanと共同で,Hoイオン注入c-Siの発光の研究を行い,Ho 4f-電子遷移に基づく〜1.2μmの発光を初めて観測した.
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