1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07455138
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 尚夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (60189636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 真澄 名古屋大学, 工学部, 講師 (00203258)
藤巻 朗 名古屋大学, 工学部, 助教授 (20183931)
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Keywords | Bi_2Sr_2Ca_2Cu_3Ox / ジョセフソン接合 / バイクリスタル |
Research Abstract |
Bi_2Sr_2Ca_2Cu_3Ox(Bi2223相)は100K以上の臨界温度を有する酸化物超伝導体で、この材料を用いれば、現在主流のY系超伝導体デバイスに比べ、動作安定度・性能の面で優れたデバイスの実現が期待できる。本年度はBi2223相の薄膜化技術をもとに、ジョセフソン接合及びイントリンシック接合の作製を試みた。 酸化物超伝導体は基板上にエピタキシャル成長する。この特質を生かし、バイクリスタル基板(結晶方位の異なる基板を貼り合わせた基板)上にBi2223相を成膜し、結晶粒界によるジョセフソン接合の形成を試みた。特性はY系超伝導体とおおむね同様の特性を示した。一方で、高い接合抵抗と低い臨界電流密度がBi2223相粒界接合の特徴として確認された。ジョセフソン接合では接合抵抗と臨界電流の積が重要なクオリティパラメータとなるが、この値はY系より大きくBi2223相の粒界接合の高いポテンシャルが確認された。さらに特性の解析結果から、接合内の伝導機構は電子対が直接トンネリング、準粒子が共鳴トンネリングであることが分かった。また、粒界部に形成された絶縁層近傍には常伝導相が存在していることが明らかになった。 Bi2223相の結晶構造は層状構造をしており、各層は2次元的に超伝導状態になっていることが最近になって分かってきた。また、層間は自然に形成されたジョセフソン接合(イントリンシック接合)となっている。本研究ではBi2223相薄膜を用いてイントリンシック接合の観測を試みた。現在までジョセフソン電流と超伝導ギャップ構造の両方を同時に観測するには至っていないが、層数すなわち直列に接続されたジョセフソン接合の数に対応するギャップ構造の観測に成功している。再現性等の改善のためさらなるプロセスの改良が必要となる。
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