低損失X線ファイバおよび高機能X線光学素子の基礎的研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07455150
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Toyohashi University of Technology
• Principal Investigator: 宮崎 保光 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00023169)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 黄 新民 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (00262973) ; 後藤 信夫 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (60170461)
• Keywords: 多層膜反射鏡 / X線ビーム波 / X線機能素子 / X線導波路 / X線ファイバ / 散乱解析 / 屈折率分布 / テ-パ状導波管

Research Abstract

1 多層膜X線反射鏡の研究において、より高い反射率を得ることのできる組み合わせとして、これまでのPt/Si多層膜にかわり、52層Ag/La多層膜を挙げ、その波長依存性、層数依存性、入射角依存性などを明らかにし、入射X線ビームの角度に対して、膜厚の最適化を行った。その結果、これまでに本研究室で行われてきた多層膜の反射率を上回る理論特性を得ることができた。さらに現在この結果を基に、素子の開発の検討、および表面粗さの問題の検討を行っている。
2 結晶中の原子群を完全導体柱に見立て、結晶中に入射するX線ビームの透過・散乱特性の解析を行った。原子(導体柱)の配列によってX線の散乱強度分布が示され、結晶中でのX線ビームの振る舞いについて基礎原理が明らかになった。現在はより多数の原子による散乱解析の計算効率の向上、及び導体柱を誘電体柱に置き換えた場合の散乱解析を行っている。
3 X線収束素子の研究において、素子の分布状屈折率媒質内に伝搬する波動を解析するにあたり、導波路媒質の損失を考慮した波動伝搬法を用いた解析を進めている。これにより分布関数による伝搬特性の違い、ビーム幅により分布幅および素子長、最適な収束機能素子の特性を明らかにした。現在、コア層での損失を考慮に入れた新しい理論式の導入の検討を行っている。
4 単原子によるX線の散乱解析で、内部に屈折率分布を持つ誘電体円柱のモデルを用いることにより、より厳密なX線の散乱解析を行った。また原子の励起確率を導入し、より現実に近いモデルに改善を図った。その結果電子の励起が屈折率の変化の大きさに影響することを示した。現在は原子内における入射X線による電界分布の表現について検討を行っている。
5 生体観察に応用が期待されるX線プローブの基礎段階として、テ-パ状導波路での電界分布の解析を行った。その結果、テ-パ状導波路でX線の収束を確認した。現在、この先端から多方向に放出されるX線による導波路先端近傍での電界分布の解析についての研究を行っている。
6 曲がり導波路におけるX線の伝搬特性についても波動伝搬法により解析を進めている。その結果、伝搬方向と曲がり導波路の角度との相関を確認した。現在、本手法を別のモデルに適用し、曲率半径との相関を示す研究を行っている。

Research Products

• [Publications] 宮崎、園田、上乗: "ランダム媒質中物体の電磁波散乱に関するFD-TD法による統計的解析" 電気学会論文誌C. 117-C. 35-41 (1997)
• [Publications] 真鍋、宮崎: "ベクトル境界要素法を用いた完全導電性直方体による電磁波散乱の解" 電気学会論文誌C. 116-C. 22-26 (1996)
• [Publications] Y.Miyazaki: "High-gain characteristics of integrated optical amplifiers using rare-earth ion-doped garnet thin film wave-guides" Journal of Indian Institute of Science. 76. 167-173 (1996)
• [Publications] 宮崎: "円形断面光導波路のテ-パ接合部における電磁界の等角写像による考察" 電気学会論文誌C. 116-C. 90-95 (1996)
• [Publications] T.Okuyama and Y.Miyazaki: "Electromagnetic analysis of X-ray focussing devices using beam propagation method" Proc.of 1996 Int.Symposum on Antennas and Propagation (ISAP'96 Chiba). 3. 657-660 (1996)
• [Publications] Y.Miyazaki,Y.Jyonori and J.Sonoda: "Statistical characteristics of reflections and scatterings of electromagnetic radar pulse by buried objects in random underground media" Proc.of 6th Int.Conf.onGround Penetrating Radar (GPR'96) Sendai. 151-154 (1996)
• [Publications] Y.Miyazaki,J.Sonoda and Y.Jyonori: "Statistical Reflection Properties of Electromagnetic Waves of Subsurface Radar" Proc. of 1996 Int. Symposum on Antennas and Propagation (ISAP'96 Chiba). 3. 877-880 (1996)
• [Publications] Y.Miyazaki: "Optical Waveguide Type Functional Devices for Signal Processing in High Speed Mobile Radio Communication" Proc.of Asia-Pacific Microwave Conference,New Dehli. 3. 1333-1337 (1996)
• [Publications] 尾崎,宮崎: "X線ガウスビーム波の円柱散乱" 電磁会理論研究会. EMT-96-38. 21-29 (1996)
• [Publications] Y.Miyazaki: "A Mathematical Method of Electromagnetic Field in Tapered Optical Waveguide Using Conformal Mapping" International Radio Electronics,Nauka,Moscow. 2. 2-46 (1996)
• [Publications] 奥山,宮崎: "波動伝搬法を用いたX線導波型集束機能素子の集束特性解析" 信学技報. OPE-96-12. 1-6 (1996)
• [Publications] 高橋,宮崎: "ランダム表面を考慮した地中レーダ応答波形のウェーブレット解析" 信学技報. EMCJ96-61. 97-104 (1996)
• [Publications] Y.Miyazaki: "Integrated Optical Amplifiers Using Active Thin Film Waveguides" Tata McGraw-Hill, 12 (1996)