1996 Fiscal Year Annual Research Report
機械システムの知能化のためのトルクセンサの最適設計に関する研究
Project/Area Number |
07455173
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笹田 一郎 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助教授 (20117120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 節雄 九州大学, 工学部, 教授 (90150490)
|
Keywords | トルクセンサ / 磁気ひずみ / ヒステリシス / 磁気ヘッド / 平面コイル / 鋼軸 |
Research Abstract |
鋼軸に内在する磁気ひずみ効果を用いた非接触検出形トルクセンサを、直交8の字コイル対からなる薄形磁気ヘッドと、最終段を同期整流回路とするブリッジ形検出回路とによって構成し、感度特性の評価、人出力間ヒステリシスのメカニズムの解明、軸回転に伴うゼロ点変動の評価、およびセンサに用いられる鋼軸材の評価を行った。これらの結果、ヒステリシスがゼロとなる条件の存在を調べる方法を確立し、トルクセンサの最適設計のための指針を得た。また、本研究の副産物として磁気異方性をイメージングする方法を開発した。 感度特性については、浸炭による表面硬化処理を施した鋼軸からでも十分トルク検出が可能なことがわかった。測定を行った4種の鋼軸、SNCM420浸炭処理軸、SNCM616浸炭処理軸、SNCM447焼入れ軸、SCM420浸炭処理軸の比較では、Niを多く含有するSNCM616が最も高い感度を示し、SNCM420、SNCM447が両者同程度でこれに続き、最も低いのがSCM420であった。 入出力間のヒステリシス特性に関しては、トルク無印加の初期状態を基準とした検出コイルのインピーダンスの変化分をニZとすると、ヒステリシスがゼロとなるような条件下では、印加トルク解放後のニZの位相が、同期整流器の同期位相に対して直交しており、そのため同期整流して得られるセンサ出力がゼロとなっていることがわかった。したがって、試験対象とする軸に対し、上記2つの量の直交化が可能かどうか調べることによって、入出力間ヒステリシスがゼロとなる動作条件(励磁電流、周波数、および、同期整流器の同期位相)が存在するかどうか判別可能である。 軸回転に伴うゼロ点変動は、ヒステリシスがゼロとなる条件が存在したSNCM420浸炭軸に絞った。磁気ヘッドを2個用いるフルブリッジ構成のトルクセンサにおいて、励磁周波数60kHz、励磁電流0.3Aで、ゼロ点変動が±1.3%/FS(FS=1000Nm、軸径25mm)程度となることを示した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 笹田 一郎、渡邊 直幸: "新しい磁気バ-コードの試み" 日本応用磁気学会誌. 20巻2号. 573-576 (1996)
-
[Publications] 古賀 文隆,吉田 浩二,笹田 一郎: "薄型磁気ヘッドを用いた磁気ひずみ効果型トルクセンサの特性" 九大システム情報科学研報. 1巻1号. 57-67 (1996)
-
[Publications] 古賀文隆,吉田浩二,笹田一郎: "磁気ひずみ効果型トルクセンサのための鋼軸の特性評価" 電気学会論文誌A. 117巻2号. 148-154 (1997)
-
[Publications] 笹田一郎,吉田浩二: "トルクセンサ用鋼軸表面の磁気的不均一性の可視化(掲載決定4頁)" 日本応用磁気学会誌. 21巻4-2号. (1997)
-
[Publications] 渡辺直幸、笹田一郎: "磁気異方性検出による磁性インキ印刷バ-コード読みとり特性(掲載決定4頁)" 日本応用磁気学会誌. 21巻4-2号. (1997)