Research Abstract |
本研究は,交通計画上望ましい/許容できるような状態として"安定的なネットワーク均衡状態"を定義し,"それを達成するためには如何なる方策があり得るか?"という問題を考える.そして,そのようなフロー・パターンを保証するための方策として考えられる3種類の自然な交通施策問題を設定し解析するものである. 平成7年度の研究では,まず,安定的均衡状態を保証するための方策として考えられる3種類の自然な交通施策問題:a)供給曲線の上方シフト型問題="混雑料金問題",b)需要曲線の右シフト問題="容量増強問題",c)需要曲線の左シフト問題の一部=最大ネットワーク容量問題;の各々について,基本的なケースについての問題の整理と数理的定式化を行った.次に,問題a)とc)について,基本的な定式化を理論的に解析した.その結果,問題a)については,等価な数理計画問題/変分不等式問題を構成できることが明らかになった.また,それを用いてモデルのいくつかの基本特性(解の存在,一意性,等)を明らかにした.問題c)については,適当なネットワーク変換を考えることによって,問題を固定需要型の均衡配分モデルと同様の構造の数理計画問題に帰着させることができることを明らかにした.また,その結果から,解の一意性等についての解析を行うと同時に,従来の各種関連問題/手法間の関係を理論的に明確化した.さらに,上記の理論解析結果を基に,問題a),c)の厳密かつ効率的な解法を開発した.より具体的には,上記の等価な数理計画問題を効率的に解く,大規模ネットワークでも適用可能なアルゴリズムを開発した.さらに,問題c)については,数値実験による収束性/効率性の検討を行った.なお,b)の問題については,今年度は研究を行っていない.これは,問題a),c)の研究過程で,その理論をより一般的に考察できる点が見いだされ,その追求を優先的に行っていたためである.
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