1995 Fiscal Year Annual Research Report
保全域と再利用域を指定した多元化水代謝システムの構築
Project/Area Number |
07455208
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 達雄 北海道大学, 工学部, 助教授 (10029291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 三樹 北海道大学, 工学部, 助教授 (90001221)
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Keywords | 水代謝システム / 水の再利用 / 水の自然貯留 / 高度処理 / 凝集沈殿 / 富栄養化 / 土壌浸透 / 都市河川水 |
Research Abstract |
本研究では、流域を上質の飲料水を求める自然保全域と利用後の汚濁水を処理した後に雑用水等に再利用する制御域に分画するという基本構想に基づいて、大都市の水需要を賄える多元水代謝システムを構築することを目的としている。この構想を実現するためには、制御域において下水処理水等を含む汚濁河川水の高度処理方法の確立、処理水の湖沼での貯留中における水質変化および土壌浸透による水質向上の可能性などに関する基礎的知見が必要である。そこで、上述の点を解明するために大都市域として、札幌都市圏を取り上げ、茨戸湖(全貯水量;1630万m^3)の一部を水の再利用空間として利用することとして実験的検討を行い、次の結果を得た。 1.河道利用凝集沈殿処理;下水処理場放流水を含む都市河川水(BOD;約7.5mg/l、SS;約15mg/l、全窒素;約7.5mg/l、全リン;約0.16mg/l)の硫酸第二鉄による凝集処理実験を行い、凝集剤注入量、攪拌速度、滞留時間などの操作条件を決定した。最適条件におけるBOD、SSおよびリンの除去率は平均80%、60%および82%となり、大幅な水質改善が可能であった。 2.貯留実験;水質改善がなされた凝集沈殿処理水を貯留槽(容積;0.625m^3、表面積0.26m^2;、深さ2.5m)を4槽直列に連結した貯水池に平均滞留日数10〜40日の条件で貯留し、水質変化を検討した。その結果、凝集沈殿処理での除去率が低かった窒素成分が脱窒により20〜25%除去でき、さらに水質が改善された。また無処理河川水と凝集沈殿処理水を貯留した場合、夏期のクロロフィル濃度はそれぞれ約60μg/lおよび約10μg/lとなり、凝集沈殿処理を行うことによって、藻類増殖を大幅に阻止できた。 3.土壌浸透実験;貯留水を土壌浸透した結果、飲料水水質基準を満足する水質が得られ、雑用水等の再利用が可能であることが示唆された。
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