1996 Fiscal Year Annual Research Report
保全域と再利用域を指定した多元化水代謝システムの構築
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07455208
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 達雄 北海道大学, 工学部, 教授 (10029291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 三樹 北海道大学, 工学部, 助教授 (90001221)
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Keywords | 水代謝システム / 高度処理システム / 人工系と自然系 / 自然浄化 / 富栄養化 / AGP / 土壌浸透 / 水の再利用 |
Research Abstract |
自然浄化を包含した省エネルギー浄化システムにより水を再生し、リサイクル型水利用を実現することを目的として、次の課題について研究を行った。 (1)省エネルギー型高度下・廃水処理システムの開発;嫌気性バイオリアクターと接触曝気槽から構成された高度処理システムは下・廃水中のSS、BOD、窒素およびリン成分の除去が可能であった。さらに第二脱窒槽を付設し、嫌気性バイオリアクターから発生する下水造粒汚泥を炭素源として用いて、脱窒を行わせた結果、下水中の窒素の96%〜98%、リンの98%以上が除去でき、処理水中のそれぞれの濃度は0.5〜1.0mg/lおよび0.01〜0.05mg/lとなり、下水の富栄養化のポテンシャルを大幅に削減できることが判った。 (2)人工系と自然系との連携による浄化システム;下・廃水あるいはそれらを含有する河川水を凝集沈殿法を用いて、高度処理(人工系)を行うことにより、120〜200μg-CHLa/lのAGP値を50μg-CHLa/l以下に低下させることができた。さらに高度処理水を貯留させた場合には、AGP値から予測される藻類増殖量よりも大幅に抑制でき、2.0〜5.5μg-CHLa/lという極めて低い値であった。この結果は富栄養化ポテンシャルを下げると、湖沼や貯水池(自然系)の自浄能力が強化できることを示唆している。 (3)土壌浸透による水質変換;湖沼・貯水池などにおいて貯留・安定化した再生水の再利用方法の一つとして、地下浸透させて水質の向上を図り、井戸群からの揚水により利用する方法が考えられる。貯留・浄化した再生水を土壌浸透すると、生物学的および物理化学的にSS、TOC、TN成分の除去が期待できた。特にNO^-_3n-Nは浸透深さ2m以上で生物学的脱窒作用により、90%以上が除去された。 以上の結果から、高度処理と湖沼などの自浄作用により都市廃水あるいはそれを含有する河川水を清浄な水を再生し、さらに土壌浸透を行うと、再利用可能な水質にまで改善できることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 清水達雄: "流動層造粒バイオリアクターシステムによるSS、COD、窒素およびリン除去" 水環境学会誌. 18・2. 142-151 (1995)
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[Publications] 小林三樹: "寒冷都市の水に賦存する熱エネルギーの評価" 水文・水資源学会誌. 8・3. 309-321 (1995)
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[Publications] 清水達雄: "下水造粒汚泥を用いる生物学的脱窒" 日本水処理生物学会誌. 32・1. 23-32 (1996)
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[Publications] 小林三樹: "都市の水環境と排水システムの再構築-ドイツ・ルール地域をたづねて-" 月刊下水道. 20・2. 150-154 (1997)
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[Publications] 清水達雄: "高度処理との連携による湖沼の水質改善" 第31回日本水環境学会年会講演集. (印刷中). (1997)
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[Publications] 清水達雄: "捨てた水の再生を考える" 水. 38・9. 43 (1996)