1995 Fiscal Year Annual Research Report
鉄筋コンクリート部材の折曲げ定着性能の総合評価に関する研究
Project/Area Number |
07455214
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
城 攻 北海道大学, 工学部, 教授 (00002014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 拓二 北海道工業大学, 工学部, 教授 (30001142)
北野 敦則 北海道大学, 工学部, 助手 (80250471)
後藤 康明 北海道大学, 工学部, 助教授 (90170472)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 折曲げ定着 / 破壊耐力 / 応力伝達機構 / 柱梁接合部 / 模型実験 / 柱軸力 / 影響要因 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート構造物内に用いられる鉄筋端部の折曲げ定着性能を、総合的に把握する事を目的とした本研究の初年度の成果を以下に要約する。 (1)定着形態の力学的分類:定着は「その先に他の鉄筋の存在を必要としないもの」と定義されるが、L形柱梁接合部の梁筋のように柱筋との継手が混在したり、直交梁筋が存在してこの定義では分類しきれない場合が生じる。応力伝達機構は、入力形式では軸力型・曲げモーメント型・剪断型とその組み合わせに分類され、抵抗形式では反力支持点までのルートが、コンクリートを介した直達力(アーチアクション)または鉄筋とコンクリートによる間接伝達力(トラスアクション)およびその組み合わせに分類される。これらは柱梁接合部・大梁小梁接合部・壁交差部などの部材形状として現れ、応力伝達機構に影響を及ぼす。 (2)定着性能への影響因子:定着部鉄筋形状では、折曲げ角度・折曲げ半径・飲み込み長さ・余長部長さが、周辺形状では、コンクリートの側方被り厚・背面被り厚・鉄筋間隔・多段配筋・直交筋・側方筋が、材料性状では、コンクリートおよび鉄筋強度・付着性能が、また加力条件では、単調・繰り返し・2方向などが定着性能に顕著な影響を与える。前述の応力伝達経路と上述の細部との組み合わせで、最も弱い部分で耐力が決まる。例えば外部柱梁接合部の定着破壊モードは、側方割裂破壊・支圧破壊・掻き出し破壊の3種に分類される。 (3)模型実験:柱梁接合部に定着される90度折り曲げ梁筋の抵抗性状のうち掻き出し破壊について実験的に検討した。柱軸力の効果は、コンクリート強度の8%相当の軸応力度を上限として定着耐力が増大する。梁幅に対して柱幅が増大すると柱梁接合部の水平断面上で台形状の破壊面が生じ、定着耐力に上限値が現れる。 (4)数値解析:鉄筋コンクリート造の弾塑性解析を行うために有限要素法を用いた数値解析プログラムの開発を進めた。折曲げ部内側に発生する支圧力と付着性状との関係を合理的に表現する事が、定着性状の精度に大きく影響する。
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[Publications] 城 攻,後藤康明: "柱梁接合部内90°折曲げ筋の定着耐力に及ぼす柱軸力・側方被り厚等の影響" コンクリート工学年次論文報告集. 17(2). 321-326 (1995)
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[Publications] 後藤康明,城 攻: "RC造柱梁接合部における折曲げ梁筋の定着破壊性状-柱軸力及び側方被り厚の影響(その1.実験概要及び破壊性状)" 日本建築学会学術講演梗概集. C-2,構造IV. 731-732 (1995)
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[Publications] 後藤康明,城 攻: "RC造柱梁接合部における折曲げ梁筋の定着破壊性状-柱軸力及び側方被り厚等の影響(その2.定着耐力)" 日本建築学会学術講演梗概集. C-2,構造IV. 733-734 (1995)
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[Publications] 城 攻,後藤康明: "RC柱梁接合部における90°曲げ下げ梁下端筋の定着性状(その1 実験概要及び破壊性状)" 日本建築学会北海道支部研究報告集. 69. 25-28 (1996)
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[Publications] 城 攻,後藤康明: "RC柱梁接合部における90°曲げ下げ梁下端筋の定着性状(その2 掻き出し破壊定着耐力)" 日本建築学会北海道支部研究報告集. 69. 29-32 (1996)
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[Publications] 城 攻,後藤康明: "RC柱梁接合部における90°曲げ下げ梁下端筋の定着性状(その3 変形性状)" 日本建築学会北海道支部研究報告集. 69. 33-36 (1996)