1996 Fiscal Year Annual Research Report
部材の硬化及び劣化特性が建築鋼骨組の崩壊挙動とその発生限界に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
07455220
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上谷 宏二 京都大学, 工学研究科, 教授 (40026349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝井 健 京都大学, 工学研究科, 助手 (60263109)
大崎 純 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40176855)
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Keywords | 硬化特性 / 対称限界 / 定常状態限界 / 耐震設計 / 脆性破壊 / 梁降伏型骨組 / 地震応答解析 |
Research Abstract |
下記の項目について研究を実施し,ほぼ当初の計画通りの実績を達成した。 1.複合非線形動的挙動を材料が劣化挙動を呈する領域まで追跡できる数値解析プログラムを開発した。このプログラムを用いて,部材が劣化挙動を呈する梁降伏型骨組の地震応答解析を行いその崩壊挙動特性を明らかにした。 2.梁降伏型骨組の静的及び動的崩壊挙動実験を振動台を用いて行った。供試体頂部に配置する質点質量,振動台の振幅および周波数を変化させ,それぞれが崩壊挙動に及ぼす影響を調べた。動的載荷を行う場合,載荷条件により骨組応答は次の3種類に分けられる。 (1)正負2方向の累積塑性変形量が均等で,振動の中心がドリフトしない。 (2)正負のいずれかの方向に塑性変形が偏り,その方向に振動の中心がドリフトする。 (3)一方向に振動中心のドリフトが生じるとともに,全層に渡る弓形モードが発生する。 3.対称限界理論により予測される弓形変形モードの発生条件は静的載荷時の挙動に対するものであるが,項目1で開発した数値解析プログラムによりシミュレートした結果,動的載荷時にも精度よく対応することが示された。また,項目2で行った振動台実験においても限界理論が精度よく弓形発生を予測することを確認した。さらに,応答中に頂点水平剛性が常に正を保てば,一方向への振動中心のドリフトが生じないことを数値解析および振動台実験により示した。 4.梁部材が劣化挙動を呈する梁降伏型骨組では,下層部に生じる変形集中の発生領域が,劣化挙動を呈さない骨組に比べて小さくなり,崩壊の進行が早くなることを数値解析により明らかにした。
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[Publications] 上谷宏二,田川浩: "梁降伏型骨組の動的崩壊過程における変形集中現象" 日本建築学会構造系論文集. 483. 51-60 (1996)
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[Publications] K.Uetani,H.Tagawa: "Deformation concentration phenomena in seismic response of multistory frames" Proc.of 11th World Conference on Earthquake Engineering. Paper No.567 (1996)
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[Publications] 上谷宏二,田川浩: "梁端部の脆性破壊を伴う鋼構造骨組の地震応答" 日本建築学会構造系論文集. 489. 77-86 (1996)
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[Publications] 上谷宏二、他: "動的外乱に対する設計の展望 第2章5-4" 日本建築学会, (1996)