1996 Fiscal Year Annual Research Report
軸鉄筋の多段階降伏によるコンクリート系部材の履歴エネルギー吸収の改善
Project/Area Number |
07455221
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 史夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 博人 建設省建築研究所, 第四研究部, 主任研究員
西山 峰広 京都大学, 工学研究科, 助手 (50183900)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / プレストコンクリート / 履歴復元力特性 / エネルギー消費 / プレキャストコンクリート / 耐震設計 / 地震応答 / 降伏 |
Research Abstract |
研究の第一段階として、まず、強度の異なる鉄筋を併用した鉄筋コンクリート柱試験体を作製し、載荷試験を行った。比較のために通常の鉄筋コンクリート試験体も作製した。実験パラメータとして、普通強度鉄筋と高強度鉄筋の混合比率、柱軸力、二方向曲げなどを選択した。この結果、強度の異なる鉄筋の併用により二段階の降伏現象を示す荷重-変形関係が得られること、また、1種類の鉄筋のみ使用した通常の鉄筋コンクリート試験体よりも、高強度鉄筋が弾性に保たれている間は、通常の降伏時変形以後においても安定した履歴ループを描くことが示された。さらには、さほど大きくない中小の地震時を想定した変位においても履歴吸収エネルギーの大きな履歴ループが得られた。 次の段階として、プレキャスト圧着接合骨組において履歴復元力特性の改善を試みた。すなわち、素線3本を通常の高強度素線とし、残りの4本を普通強度素線としてよりあわせた7本よりストランドを緊張材として梁-柱接合骨組試験体をポストテンションにより作製し、繰り返し載荷試験を行った。実験パラメータとして、導入力と緊張材の偏心距離の大きさを採用した。通常のストランドを用いて作製した試験体にも同様に載荷試験を行い、先の結果と比較した。この結果、混合ストランドを用いた試験体では、普通ストランドを用いた試験体と比較して大きな履歴吸収エネルギーの履歴ループを描くことが示された。 さらには、鋼棒自身が二段階に降伏する二相焼入れPC鋼棒を用いた柱-基礎部圧着接合骨組の載荷試験を行った。これは、焼入れの過程で同一鋼材中に高強度の部分と普通強度の部分が混在するようにした鋼棒である。実験パラメータとして、導入力と柱軸方向力の大きさを選択した。この場合にはPC鋼棒の応力度-ひずみ度関係が、二段階の降伏現象を示すものであるが、十分な屈曲を生じさせることが難しく、部材としての荷重-変位関係にもさほど大きな改善効果は見られなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Nishiyama,F.Watanabe and H.Sato: "Precast Connections Pcst-tensioned by Graded Composite Steel" Concrete 95 Toward Better Concrete Structurs,Conference Papers,Brishane,Australia. 1. 579-588 (1995)
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[Publications] M.Nishiyama,F.Watanabe and H.Muguruma: "The Use of Prestressed Concretein Building Structures in Japan" The Concrete Future,International Conference'95 Conference Technical Papers,Auckland,New Zealand. 47-56 (1995)
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[Publications] 田川,渡辺,西山,佐藤: "プレキャストコンクリート柱・基礎圧着接合部の載荷実験(その1:実験概要)(その2:実験結果の概要)" 日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道). C-2. 673-676 (1995)
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[Publications] F.Watanabe,J.Y.Lee and M.Nishiyama: "Structural Performance of Reinforced Concrete Columns with Different Grade Longitudinal Bars" ACI Structural Journal. Vol.92 No.4. 412-418 (1995)
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[Publications] 田川,西山: "PC鋼棒の応力度-ひずみ度関係" 日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿). C-2. 917-918 (1996)
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[Publications] 西山,丹羽,渡辺,六車: "混合ストランドを用いたプレキャスト圧着接合部骨組の履歴性状" コンクリート工学年次講演会論文集. Vol.16 No.2. 811-816 (1994)