1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07455268
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
門間 英毅 工学院大学, 工学部, 教授 (00265951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 偉男 工学院大学, 工学部, 講師 (50100300)
高橋 聡 工学院大学, 工学部, 講師 (10100322)
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Keywords | リン酸カルシウム / アパタイト / セメント / バイオセメント / 生体活性セメント / 水和反応 / 水和硬化 / 水蒸気水和 |
Research Abstract |
バイオセメント新素材として期待されている反応性リン酸カルシウムは、まだ物質化学的に未知のところが多い。本研究では、リン酸カルシウムセメントの成分・粒子形態とセメント物性との関係、水和反応の解析、硬化体の組織制御・高強度化の方向等を明らかにする。前年度は、セメント構成成分である高温合成(平衡合成)したαーリン酸三カルシウム(α-TCP)を用いたセメントの水中および水蒸気中での水和挙動を調べた。本年度は、非晶質リン酸カルシウム(ACP)および低結晶性アパタイト(L-Ap)の熱分解によって、α-TCPをその安定な高温度領域以下で低温合成(非平衡合成)する条件をしらべた。 ACPのTCP組成の水和物の非晶質物質であり、L-ApはTCP組成のAp構造の物質とみなせる。両者の熱分解過程で安定相であるβ-TCPを生じる過程で、不安定な高いエネルギーを経ると推察すると、加熱分解の制御によってα-TCPを非平衡合成できるものと期待できる。その結果、各温度1時間加熱の条件で、ACPは650℃付近で発熱的に結晶化しはじめ、720℃でもっとも高いα相の生成割合のα+β混合生成物を生じた。870℃ではほとんどβ相であったが、これは、初期に生成した非平衡相であるα相が高温ほど安定相であるβ相へ転移しやすくなるためと推察できる。L-Apの場合は、620℃までは脱水はするもののAp構造を保持し、670℃以上で分解してβ-TCPのみを生成した。これは、α相レベルにまったく留まることなくβ相を生成したのか、もっと加熱時間を短縮することにより、α相を検出できるのか、また、このようにして得られたα相の水和硬化性の程度などについては今後も引き続き研究する。
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[Publications] 門間英毅: "反応硬化性新材料の展望" 化学工業. 47・7. 547-551 (1996)
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[Publications] 西野 忠: "イオン交換樹脂を含む懸濁水への難溶性無機化合物の溶解(第10報)" 日本セラミックス協会学術論文誌. 104・8. 729-733 (1996)
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[Publications] 門間英毅: "ハイドロキシアパタイトとフルオルアパタイトの比較材料科学" ニューセラミックス. 9・10. 9-15 (1996)
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[Publications] 門間英毅: "石炭による排水中のリン酸イオンの固定" 無機マテリアル. 3. 607-614 (1996)
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[Publications] 門間英毅: "Adsorption of Benzenecarboxylic Acids on Octacalcium Phosphate" Bioceramics. 10. 221-224 (1996)
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[Publications] 門間英毅: "アルカリ土類金属塩,セッコウ,ヒドロキシアパタイトの化学" 化学と教育. 45・1. 24-29 (1997)
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[Publications] 門間英毅: "リン酸カルシウムセメントの材料化学" 生体材料. 15・1. 24-30 (1996)