1996 Fiscal Year Annual Research Report
金属射出成形(MIM)における充填、脱脂、焼結プロセスの究明
Project/Area Number |
07455286
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 宏之 名古屋大学, 工学部, 教授 (60023272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝田 光晴 名古屋大学, 工学部, 講師 (20163355)
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Keywords | 射出成形 / 金属粉末 / 脱脂 / 焼結 / ネットシェイプ成形 |
Research Abstract |
金属粉末射出成形法(MIM)における脱脂工程時の問題点として寸法精度、形状変形、脱脂時間の長さの問題があげられる。脱脂挙動を把握することは、これらの問題を解決するために重要である。平成8年度本研究では、熱重量分析により成形体からの脱脂成分の除去挙動を調べて、SEMで脱脂体組織を観察した。これらにより脱脂のメカニズムの考察を行った。 実験方法 本研究では、まずステンレス鋼SUS304微粉末92.6mass%と熱可塑性樹脂及び油脂それぞれ3.7mass%を熱間で混練したペレットを50×10×6mmの長方形に射出成形した。熱重量測定装置を用いて、グリーン体加熱時の熱重量分析を行った。それにより、脱脂時のバインダ(ガス体)の拡散挙動を調べた。また低温で脱脂してバインダの流動現象を調査した。 結果 熱重量分析による、バインダのみとグリーン体内のバインダの熱分解曲線を比較、検討した結果、違う状態にあるバインダの分散挙動はほぼ一致していることがわかった。これにより脱脂プロセスにはグリーン体内部の拡散ではなく、表面からの脱脂成分の拡散が重要であることがわかる。これは脱脂初期(熱分解前)において、バインダが溶融して試料表面に流出することによっても説明できる。さらに、バインダ(ガス体)の拡散はグリーン体表面から上方向への一方向拡散と仮定して、Fickの法則により求めた拡散係数はD=1.4×10^<-4>exp(-1800/T)であった。この拡散係数を用いて計算した脱脂率と実測脱脂率はほぼ一致した。なおSEMで脱脂体組織を観察した結果、試料表面から内部まで残留バインダ量の差は認められなかった。以上の結果により、MIMにおける加熱脱脂プロセスを支配する過程は脱脂体表面からのガス体拡散であると結論づけられた。
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