Research Abstract |
マイクロエレクトロニクス分野の実装工程に使用される細線ワイヤ及び角型リ-ドの接合過程とその機構を研究し,モデル化し,数値計算によりプロセス解析を実行した.超音波を印可しない熱圧着過程時のワイヤ及びリ-ドの変形過程をFEM(有限要素法)モデルに基づきコンピュータシミュレーションを実行した.その結果,ワイヤとリ-ドフレーム(またはパッド)間の界面密着成長過程を解析できた.パッドが堅く密着部が滑らないと,ワイヤの側面部がよく変形しリ-ドフレーム(パッド)にのびながら重なる(フォールドする)ように密着し,周囲部接合が生じる.他方,パッドが柔らかいか,パッド/ワイヤ界面で相対滑りが生じると接合部の中央部分で,界面伸びが著しくなるが,周囲部ではそれほど大きな界面伸びが生じない.一般には,周囲部接合が生じるので,密着界面は固着されている場合が多きことが理解され,そのような場合,接合部中央では強固な金属結合ができない.十分な周囲部接合を達成するには,0.5以上のワイヤ圧縮比が必要であることが数値モデルから予測されたが,この予測は,接合実験によって,確認された. ワイヤ/パッド間の接合界面面積(の増加)は,ワイヤの圧縮率によって制御されているので,圧縮比がいっていなら,ボンディングツールに溝を付けて,ワイヤを拘束する方が,平坦なボンディングツールを使用するより接合面積を大きくすることができる.ワイヤボンディングに関しては以上の様な知見を得た.さらに,今後,接合部位の微細化が生じる事を考え,接合機構の立場から,微細化(サイズ)限界についても定量的に検討した. 角形リ-ドボンディングに関しては,パッド厚さ,パッドの材料特性の界面密着過程に及ぼす効果を検討した.特に,パッド厚の効果は大きく,パッド/ワイヤ及びパッド/下地(シリコン基板)の界面応力分布さえも大きく変えてしまうことがわかった.これらは,実験データにより確証を得ている. さらに,固相状態での常温微細接合を試みた.そのためには,超高真空状態とイオンビームにより接合表面を活性化することが必要であるので,実験装置を試作し,これを元に実験を行った.常温なので,金ワイヤの弾性変形が生じ,接合強度を低下するが,この弾性力の緩和過程のモデル化も試み,興味ある結果をえた.
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