1995 Fiscal Year Annual Research Report
低温結晶中での炭化水素類の多光子励起と選択的反応の開発
Project/Area Number |
07455312
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幸田 清一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10011107)
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Keywords | 低温結晶 / レーザー励起 / 選択的反応 / 同位体分離 / 振動緩和 / 酸素 / 硫化カルボニル |
Research Abstract |
低温結晶中にドープされた化学種の光学遷移においては、ホノンサイドバンドの寄与が減少し、シャープな吸収線が期待でき、この結果、物質選択的、同位体選択的、モード選択的な励起が可能性をもつ。また、低温の固体中では振動励起が非常に遅いことも期待され、特異な反応の可能性がある。本研究では、小分子を少量ドープした希ガス結晶を作成し、赤外、近赤外領域での同位体選択的、モード選択的励起の可能性と、以後の反応および振動緩和過程を明らかにし、その結果に基づき新規な反応プロセス、例えば、同位体分離の新規なプロセスの基盤を解明することを目的としている。 小分子の低温固体中における励起と振動緩和の機構解明の一助として、酸素分子を対象として検討した。すなわち、酸素分子をドープしたAr結晶を15K程度の極低温下に作製し、新空中に孤立させた。この結晶にKrF レーザー光を照射し、同時に結晶の紫外・可視吸収スペクトルを測定した。その結果、高振動励起酸素分子から、電子励起状態への吸収スペクトルを測定することに成功した。スペクトル線の時間変化から、振動緩和は非常に遅い過程と考えられる結果を得た。現在この解析を継続している。15EA03:さらに3原子分子の一つであるOCSを選び、このAr結晶へのドープを試みた。赤外領域のスペクトルの観測によると、濃度が1/10000程度では、スペクトル線幅は不均一ブロードニングを起こしているが、さらに低濃度ではスペクトル線は狭くなり、ドープ分子を孤立させることが可能であると予想した。さらに、炭素の同位体シフトに対応した吸収スペクトルが認められ、基本的には同位体選択的な赤外レーザー励起ができることが判明した。
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Research Products
(1 results)