1995 Fiscal Year Annual Research Report
電子線・レーザーパルス照射によるラジカルイオンの光化学
Project/Area Number |
07455341
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真嶋 哲朗 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (00165698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐治 幸子 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50197844)
石田 昭人 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20184525)
高椋 節夫 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50029849)
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Keywords | 放射線化学 / 光化学 / ラジカルイオン |
Research Abstract |
電子線パルスとレーザーパルスとを同期発振させることによる電子線・レーザーパルス照射法を使用して、ラジカルカチオンの光化学に関する研究を行った。先ず、シス-およびトランス-スチルベンを取り上げ、そのラジカルカチオン(c-St^<+・>、t-St^<+・>)、およびc-St^<+・>と類似の1,2-ジフェニルシクロブテンのラジカルカチオン(CB^<+・>)の光化学を調べた。その結果、c-St^<+・>のD_2光励起状態(c-St^<+・>)はレーザーパルス(5ns)内にt-St^<+・>へ約(75±15)%の収率で異性化(量子収率0.49±0.12)すること、残り(25±15)%は環化反応生成物などへ変わることがわかった。一方、t-St^<+・*>およびCB^<+・>は内部変換するのみであった。St^<+・>を選択的にホール移動消光する消光剤として、アニソール(A)が適当であることを見い出した。St^<+・*>からAへのホール移動は十分発熱的で拡散律速速度で起こると考えられるので、t-St^<+・*>およびc-St^<+・*>の寿命はτ_t=240±50psおよびτ_c=120±30psと求められた。また、CB^<+・*>の寿命はτ_<CB>=380±30psであった。これらの結果から、c-St^<+・*>は主にC=C二重結合回りのねじれによりt-St^<+・>のD_0へ異性化するか、内部変換によりc-St^<+・>のD_0に失活すること、t-St^<+・*>およびCB^<+・*>ではC=C二重結合回りのねじれが抑えられているため異性化は起こらず、内部変換によりそれぞれt-St^<+・>のD_0およびCB^<+・>のD_0に失活すること、τ_c<τ_t<τ_<CB>の差異は主に異性化反応が進行するかどうかとねじれ運動による振動緩和過程に起因していることがわかった。現在、電子線・レーザーパルス照射法により、種々のラジカルイオンの光化学に関する研究を展開している。
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[Publications] Akito Ishida: "Lifetimes and Transient Phenomena of Stilbene Radical Cations in the Second Excited Doublet State" J. Phys.Chem.99. 10808-10814 (1995)
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[Publications] Sachiko Tojo: "Remarkable Enhancements of Isomerization and Dxidation of Radical Cations of Stilbene Perivatives Inducced by Charge-Spin Separation" J.Org.Chem.60. 4684-4685 (1995)
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[Publications] Morifumi Fujata: "Lifetimes of Radical Anions of Dicyanocuthracene,Phenazine,and Anthraquinone in the Exated State From the Selective Electron-Transter Luenching" J.Phys.Chem.100(印刷中). (1996)