1996 Fiscal Year Annual Research Report
金属の還元能力を引き出す新手法の創出とその高選択的合成反応への応用
Project/Area Number |
07455361
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 岡山大学, 工学部, 助教授 (00144329)
|
Keywords | 金属 / 表面活性化 / 酸化皮膜除去 / 亜鉛 / 鉛 / マンガン / クロム / 有機合成反応 |
Research Abstract |
金属表面の活性化を亜鉛、マンガン、クロムの3種類の金属を用いて検討し、以下の研究成果を得た。(1)亜鉛金属表面の活性化と電子移動のメカニズムの解明を有機反応を通して行った。種々の添加物、とくに微量の鉛やMe_3SiCl、HMPAなどの添加によって、反応経路が大きく変わることを見いだした。電気化学からのアプローチとして、サイクリックボルタンメトリーなどの装置を用いて、亜鉛などの金属の酸化還元電位に与える、微量の鉛の添加や種々の活性化の影響なども調べた。(2)マンガン金属が微量の塩化鉛(II)とクロロトリメチルシランの添加により活性化されることを見いだした。この活性化したマンガンを用いるヨウ化アルキル、α,β-不飽和エステル(あるいはニトリル)、アルデヒド(あるいはケトン)の3分子連結反応を見いだした。ラジカルと陰イオン種を連続的に発生させることにより、炭素-炭素結合を段階的に生成するという新しい手法を開発・提唱することができた。この手法の応用として、マンガン還元により生じたアルキルラジカルの、アリルアルコール類のアクリル酸エステル誘導体に対する1,4-付加をきっかけとするIreland-Claisen転位反応を開発した。(3)クロム金属の活性化法を開発し、さらにクロム金属をハロゲン化アリルのカルボニル化合物へのGrignard型付加反応に応用した。以上の研究成果は、学術論文あるいは口頭発表として報告した。
|
-
[Publications] Kazuhiko Takai: "Activation of Manganese Metal by a Catalytic Amount of Pbcl_2 and Me_3SiCl." Tetrahedron Lett.37巻39号. 7049-7052 (1996)
-
[Publications] Kazuhiko Takai: "Sequential Generation and Utilization of Radical and Anionic Species with a Novel Manganese-Lead Reducing Agent." J.Org.Chem.61巻23号. 7990-7991 (1996)
-
[Publications] Kazuhiko Takai: "Sequential 1,4-Addition and Ireland-Claisen Rearrargement Promoted by a Manganese-PbCl_2-Me_<3P>SiCl System." J.Org.Chem.61巻25号. 8728-8729 (1996)