1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07455366
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大寺 純蔵 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20131617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 恒夫 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術部, 教授 (80183383)
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Keywords | 不斉 / カルボニル / 付加 / 還元 / 立体電子効果 / 遠隔不斉誘導 / ジアステレオ選択性 / π-電子 |
Research Abstract |
鎖状系の立体制御は現代有機合成化学於ける重要なテーマの一つである。なかでも、分子内の適当な位置に不斉点を有するカルボニル化合物への有機金属化合物や金属ヒドリドのジアステレオ選択的付加反応は勢力的に研究されてきた。α-位に不斉点を持つカルボニル化合物への付加は最も基本となるものでいわゆるCram則として知られている。我々はγ-置換α,β-不飽和系、いわゆるvinylogous Cram系のカルボニル付加反応について検討した。従来遠隔不斉誘導の成功例は限られているがそれらを方法論的に分類すると(1)分子内キレート化を利用するもの、(2)分子内の立体的要因を用いるものの二つになる。それに対して本研究においてこれ以外の第三の方法論、すなわち不斉中心の置換基の立体電子的効果のみに基づく高効率遠隔不斉誘導を実現した。具体的には不斉中心と反応点がE-オレフィンで隔てられている基質を用い、そのカルボニル還元を行なった。この系ではもはや分子内キレート化や置換基の立体的要因は付加の方向に影響しない。例えばγ置換基としてフェニルチオ基を用いると、驚くべきことに、対応するsyn-二級アルコールが最高97%の選択性で得られることを見いだした。これが置換基の立体電子的効果のみに基づく高効率的遠隔不斉誘導の初めての例である。ここに見られるようなπ-電子を介した不斉情報の伝達は理論化学へのインパクトのみならず概念的に新しい不斉合成および新規な機能性素材開発のための有用な指針となるであろう。来年度では他の置換基、例えばシリル基、アミノ基、アルコキシ基、および炭素残基を有する基質について反応を行ない、一般性を調べると共に立体電子的遠隔不斉誘導の発現機構を解明する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Otera, J. et al.: "Diastereocontrol in Lewis acid-catalyzed Michael reactions of 4-siloxycyclopentenone with ketene silvl acetals: stereoelectronic vs. steric ettect" Tetrahedron Lett.36. 95-98 (1995)
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[Publications] Sato, T; Otera, J.: "Highly stereocontrolled addition of methyltitanium reagent to α-phenylthioaldehyde" Synlett. 351-352 (1995)
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[Publications] Sato, T.; Nishio, M.; Otera, J.: "Unusual anti-selective reduction of α-methyl β-alkylketo esters by organotin hydride-titanium tetrachloride;" Synlett. 965-966 (1995)
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[Publications] Sato, T.; Kido, M.; Otera, J.: "Acyclic 1,4-diastereoselectivity in γ-substituted α-enones: transmission of chiral information through conjugation" Angew. Chem. Int. Ed. Engl.34. 2254-2256 (1995)