1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07455378
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Research Institution | GUNMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
甲本 忠史 群馬大学, 工学部, 教授 (00016643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山延 健 群馬大学, 工学部, 助教授 (40183983)
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Keywords | トライボロジー / 電子顕微鏡 / 摩擦 / 超薄折片法 / カーボンレプリカ法 / 摩耗 / 超高分子量ポリエチレン / ポリエチレンテレフタレート |
Research Abstract |
高分子材料のトライボロジーは主に摩擦係数や比摩耗量といった値で論じられ、機械工学的観点によるものであった。われわれは、すべり摩擦現象がせん断下での材料表面の高分子の変形であるととらえたとき、これを解明する一つの方法として、カーボンレプリカ法を用い透過型電子顕微鏡(TEM)で解析する方法が有望と考え研究を進めてきた。われわれは、さらに超薄切片法により摩擦表面の微細構造を解析することも重要と考え、本研究を行った。そして顕微FTIR測定、示差走査熱量測定(DSC)、密度測定などを併用することによってより詳細に高分子材料のトライボロジー機構を明らかにすることを研究目的とした。 まず、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の自己潤滑性機構の解明に関連して、摩擦表面上に生成するリボン状晶とその下の母材表面の分子鎖配向を調べるために、ポリマーデコレーション法を適用し、ポリエチレンを真空蒸着し、そのカーボンレプリカ試料について電子線回折、顕微FTIR測定を行い、母材表面もかなりの配向をしていることとその表面へのリボン状晶のエビタキシャル結晶化を明らかにした。また、分岐と分子量がトライボロジーに及ぼす影響を、直鎖状低密度ポリエチレンとその超高分子量物についてもトライボロジー特性と摩擦表面の解析を行った。その結果、分子鎖の絡み合いと分子鎖間の相互作用と結晶化が耐摩耗性に重要な因子となることを明らかにした。ポリエチレンテレフタレート(PET)のトライボロジーにおいても、リボン状晶の発現を見出し、これが低温でのPETの配向結晶化によることとそれによって耐摩耗性が向上することを解明した。また、ウルトラミクロトームを用いて、摩擦表面の超薄切片試料を作製し、その電子線回折からPET分子鎖の配向を明らかにした。本研究の意義と重要性が十分立証された。
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[Publications] 甲本忠史: "COPNA樹脂複合材の摩擦特性" 材料技術. 13. 14-20 (1995)
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[Publications] 甲本忠史: "TEMによるポリマーアロイ観察法" 日本ゴム協会誌. 68. 863-867 (1996)
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[Publications] 甲本忠史: "電子顕微鏡" 色材. 69. 191-197 (1996)
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[Publications] 甲本忠史: "高分子材料のTEM観察法" 電子顕微鏡. 32. 71-76 (1997)
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[Publications] 甲本忠史: "ポリエチレンの摩擦摩耗" 成形加工. 9. 948-954 (1997)