1997 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡ガラス状態に凍結されたミクロボイドの制御に関する研究
Project/Area Number |
07455381
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉水 広明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10240350)
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60135407)
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Keywords | 非平衡ガラス状態 / ミクロボイド / CO_2圧処理 / ガラス状高分子 / ^<129>XeNMR / ポリイミド / ポリマーブレンド / 結晶性高分子 |
Research Abstract |
本研究ではより効率的なミクロボイド制御の方法論を確立することを目的とする。まず、CO_2を多量に収着させた状態から一気に解放する(CO_2圧処理)ことによりガラス状高分子に本来存在するミクロボイドに加え、CO_2由来のミクロボイドが生成されるために、気体収着量並びに透過性が向上するのを確認した。CO_2圧処理により新たに生成されたミクロボイドのより詳細な知見を得るため、Xeガスを収着させて^<129>XeNMRスペクトルを観測し、検討を加えた。^<129>Xeはその周りの環境によって化学シフト値が大きく変化するので、ミクロボイドに関する知見を得る上で有効な手段である。CO_2圧処理された膜中の^<129>XeNMRピークは未処理膜(徐冷膜)のものより高磁場側に現れ、その線幅は狭くなった。この原因については今後更なる検討が必要であるが、現段階ではミクロボイドの増大とその分布により理解される。一方、ミクロボイド制御の他の方法として、剛直な主鎖に種々の側鎖を導入することで、分子鎖の凝集形態(パッキング)をより疎なものにする方法を試みた。いくつかのポリイミド膜を合成・調製し、その気体輸送特性を検討した結果、主鎖構造が剛直かつ直線的であるポリイミドに対して、比較的短く剛直な側鎖をランダムに適量導入することが、効率的なミクロボイド制御の重要な指針といえた。さらに2種のポリマーを混合(ポリマーブレンド)することによるミクロボイド制御の可能性も検討した。ブレンドするポリマーの組み合わせによって、ミクロボイドが増減するいくつかの事例を発見した。また、結晶性高分子の中にはその結晶中に気体が溶解できるもののあることを明らかにした。結晶構造が有する形・サイズの規制された空隙は、最も高度に制御されたミクロボイドといえる。なお、この結晶構造は気体のみならず、いくつかの有機分子をも高度に分子認識して分離できる可能性も指摘できた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 吉水広明・辻田義治: "剛直ポリイミド膜の気体透過性" 高分子加工. 45. 32-39 (1996)
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[Publications] 辻田義治・吉水広明: "ポリイミド気体透過膜" 新素材. 7. 13-17 (1996)
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[Publications] S.Kato, Y.Tsujita, H.Yoshimizu, T.Kinoshita, J.S.Higgins: "Characterization and CO_2 sorption behaavior of pdystyrene/polycarbonate blend system" Polymer. 38・11. 2807-2811 (1997)
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[Publications] K.Tsutsui, Y.Tsujita, H.Yoshimizu, T.Kinoshita: "The presence of Nanopores in Mesophase of Syndiotactic Polystyrene Estimated from Gas sorption behavior" Polymer. 39(in press). (1998)
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[Publications] Y.Okado, Y.Tsujita, H.Yoshimizu, T.Kinoshita, N.Kinjo: "Characterizations of Morphologies and Gas Permeabilities of Polyimide/Polyimide Blends" Preprints of 6th SPSJ International Polymer Conference. 61-61 (1997)
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[Publications] 竹川政克,宮内実,吉水広明,辻田義治,木下隆利: "高分子のXe収着特性と^<129>XeNMRパラメータ" 高分子学会予稿集. 46. 4137-4138 (1997)
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[Publications] 辻田義治他: "大学院高分子科学" 講談社, 496 (1997)
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[Publications] 辻田義治他: "高分子と水" 共立出版, 242 (1995)