1995 Fiscal Year Annual Research Report
低複屈折光学材料設計の基礎的研究およびモデル高分子の開発
Project/Area Number |
07455382
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助手 (80201937)
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90167164)
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Keywords | 高分子ガラス / 複屈折 / 光弾性 / ガラス転移 / 粘弾性 |
Research Abstract |
高分子ガラスの複屈折の発生および緩和に影響を与える分子構造の因子を明らかにするために、多数の高分子の複屈折と粘弾性を測定した。特に種々のビニル系高分子の比較により、複屈折には主鎖の配向による因子と主鎖まわりの回転による因子があること、前者は高温・長時間で、後者は低温・短時間で支配的であることを明らかにした。また複屈折の大きさを、高分子のモノマー単位の分極率の異方性と、主鎖方向および回転に関する配向関数で表現する表式を導き、配向関数がモノマー単位の幾何学的異方性によって変化する様子を明らかにした。これらの結果を組み合わせて、高分子構造から複屈折の大きさを予測する方法を確立した。 この結果に基づいて、複屈折の低い高分子材料、成形加工の際の複屈折の緩和が制御しやすい高分子材料のモデルとして、ベンゼン環を主鎖と側鎖に適当な比率で含む3種類の高分子を設計した。予備的な合成により、これらの高分子は極めて高いガラス転移点を有すること、溶媒に溶解しにくいことなどが観察された。光学材料としての性能は現在検討中である。 一方、今回設計した高分子は溶媒に溶けにくく、ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー法などで分子量を測定することができず、また溶液論的な方法で分子キャラクタリゼーションを行うことができない。永続的で着実な研究開発のためには、このような情報の得易いモデル物質による研究が必要と考えられるので、光学的な特性のみならず、溶解性なども考慮した高分子の構造について現在検討中である。
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