1995 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ブレンドの分子配向と混和性に及ぼす排除体積効果
Project/Area Number |
07455383
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 猛 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00111972)
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Keywords | 高分子ブレンド / 排除体積効果 / エントロピー効果 / セグメント配向 / 配向誘起相溶化 / 配向誘起非相溶化 / 高分子柔軟度 |
Research Abstract |
鎖状高分子を含め、ほとんど全ての分子は分子形状またはセグメントレベルの形状に関し異方的である。この形状異方性は排除体積効果の異方性を生じ、これが高分子凝集系のセグメント配向や近距離秩序に重大な影響を及ぼすと考えられる。本研究では、まず、格子理論に基づいてこの問題を理論的に研究し、高分子ブレンドが外力による配向を受ける際に、両高分子はその柔軟度に応じて異なる配向を示すとともに、脱混合しやすい場合と混合しやすい場合があることを予測した。次いで、アニオン重合法によりポリスチレン(PS)とポリ(α-メチルスチレン)(PMS)を、カチオン重合法によりポリビニルメチクエーテル(PVME)を合成し、共に部分相溶系であるPS/PVME系およびPMS/PVME系の延伸に伴う各成分高分子のセグメント配向をIRD法で調べた。その結果両系において、マトリックス高分子(高分子量のPSまたはPMS)の配向に伴い、ゲスト高分子(低分子量PVME)に非緩和性のセグメント配向が誘起されることを確認した。 一方、両系の延伸に伴い、系の曇点が最高20℃以上も低下することが観測された両系は高温相分離(LCST)型であるため、これは延伸誘起非相溶化現象を意味する。からみ合いに関与しない分子量約3000のPVMEをゲストポリマーとするPMS系においても明確な曇点の低下が観測された。これらの結果は上記の排除体積理論の予測と半定量的に一致した。
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