1995 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム中のノイジ-膜沸騰現象の解明とその制御
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07455388
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 正秀 筑波大学, 構造工学系, 教授 (40111588)
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Keywords | 超流動ヘリウム / ノイジ膜沸騰 / サイレント膜沸騰 / 不安定現象 |
Research Abstract |
本研究の目的は,不安定沸騰としてのノイジ-膜沸騰現象の実態を明らかにし,さらに不安定発生条件の解析モデルを確立することにある.併せて,ノイジ-膜沸騰現象の回避制御法を追求する.本年度重点的に追求された課題は,ノイジ-膜沸騰現象の開始条件のパラメータへの依存性,極低温用マイクロフォンによる圧力変動場の測定,及びそれらの解析がある. 1.ノイジ-膜沸騰出現のパラメータ(温度,静圧,ヒーターサイズ)依存性を,電気伝導性の透明ヒ-タを用いた可視化実験により調べた.温度,静圧に対しては既存の発現条件を大略再確認した.ノイジ-とサイレント沸騰の間の遷移領域では,外乱が低レベルのときにはランダムな両者間の遷移が現れるが,外乱レベルが高いと静圧の低下と共に気泡発生周波数が徐々に低下し,遂には小さな静圧では滑らかにノイジ-状態へ移行することが確認された.また,ヒ-タサイズは発生気泡の大きさを規定し,大気泡は発生周波数を低下させるというかたちで,気泡発生周波数を規定することが確かめられた. 2.ノイジ-膜沸騰に伴う音響ノイズの極低温用のマイクロフォンによる測定とそのフーリエ解析結果からは,ノイズ発生メカニズムに関する重大な知見が得られた.すなわち,ノイズとしての圧力変動は気泡発生周期内の極く短い一時期にのみスパイク的に発生する.この時期は,丁度気泡が崩壊して次の気泡が現れ始める時期に一致すると思われ,現象の理解にとり重大な発見であった.今後この点に関する可視化による確認を行う必要性が示唆された. 一定発熱量に微小な正弦的変動を重畳した擾乱をヒーターから与える手法を用い,不安定発生に対する影響を明らかにした.擾乱は比較的低周波(100Hz以下)のときには,一定加熱の時の臨界熱入量の半分以下の値でノイジ遷移を起す等,ノイジ沸騰発生を大きく助長することが確かめられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasuo Katsuki: "Visualization study on the ons-et of film boiling and the transition to a noisy film boiling in He II" Cryogenics. 35-10. 631-635 (1995)
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[Publications] Masahide Murakami: "Study of the onset condition ofnoisy film boiling in superfluid helium" IECEC Proceedings(30th Intersociety Energy Conversion Engineering Conference). 3. 301-306 (1995)