1997 Fiscal Year Annual Research Report
減圧法によるガスハイドレート層からのガス採収法に関する基礎研究
Project/Area Number |
07455409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 昌敬 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50190369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長縄 成実 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10237539)
宮沢 政 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30010987)
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Keywords | ハイドレート / 石油工学 / メタン / 天然ガス / 状態方程式 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ハイドレート層下部のフリーガスの生産によるハイドレートからのガス分解過程を工学的に解明することである。本年度は、堆積物中のハイドレート分解によるガス生産挙動を予測する数値計算プログラムとして、相平衡論とハイドレート分解速度論に基づく2種類の数値計算プログラムを作成した。両計算プログラムを用いて、初期にメタンハイドレートが均一に存在する1次元コアの一端を減圧した時の圧力伝搬の時間変化とハイドレート分解によるガス産出挙動を計算比較した。その結果、以下のことがわかった。 (1)分解速度論に基づく計算結果では、ハイドレート分解過程は、(1)圧力の伝搬が進みハイドレート分解面積が漸増する初期遷移段階(ガス生産速度が漸増する段階)、(2)分解面積がほぼ一定の分解フロントが形成され、そのフロントが一定速度で進行する段階(ガス生産速度がほぼ一定になる段階)、(3)圧力伝搬がコア末端部(不浸透性の境界)に達した後にハイドレート分解面積が漸増する分解後期段階(ガス生産速度が漸減する段階)の3段階が現れる。 (2)相平衡論に基づく計算結果では、ハイドレート分解により生じる水とガスがハイドレートと3相平衡状態で共存する部分(分解グリッド)がコア内に必ず現れる。分解グリッドよリコアのガス産出面に近い領域では、ハイドレートは完全に分解してガスと水の2相平衡状態になる。一方、分解グリッドよりコア末端部に近い領域ではハイドレートは殆ど分解しない。従って、ガスの生産レートは常にほぼ一定になる。 前年度に実施した実験と過去の実験報告データは分解速度論に基づく計算に近い結果を与えていることから、堆積物中でハイドレート分解する場合には相平衡は成立していないことが想定された。研究成果報告書に本結果の解釈についての詳細をまとめる予定である。
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[Publications] Yoshihiro MASUDA: "Numerical Calculation of Gas Production Performance From Reservoirs Containing Natural Gas Hydrates" SPE 38291. (1997)
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[Publications] 増田 昌敬: "堆積物中のメタンハイドレートからのガス生産-分解ガス組成に関する熱力学的考察" 石油学会第27回石油・石油科学討論会要旨集. 176-177 (1997)
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[Publications] 増田 昌敬: "水を含む多成分混合物の相平衡計算" 平成9年度石油技術協会春季講演会要旨集. (1997)