1997 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱による半磁性半導体中の光励起磁性クラスターの研究
Project/Area Number |
07455417
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
梶谷 剛 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80134039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 泰弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30211832)
社本 真一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90235698)
伊藤 正 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60004503)
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Keywords | 半磁性半導体 / II-VI族化合物 / 磁気クラスター / 中性子散乱 / スピングラス / 磁気準弾性散乱 / PPC |
Research Abstract |
本研究は磁性元素を添加したII-VI族化合物半導体の磁性に関する研究である。研究にはZN_<1-X>Mn_XTe(x=0.2-0.6)の単結晶試料を用いて居る。此の試料について電気伝導性、帯磁率、中性子回折および散乱測定、及びブリルアン散乱測定を実施している。昨年度、本補助金により購入したアルゴンガスレーザーを用いてブリルアン散乱測定が可能になり、マグノンの分散関係の一部を測定したが、スピングラス転移温度付近でマグノンピークの半値幅が広がって観測出来なくなった。此のような変化は、Cd_<1-X>Mn_XTeについて報告されている磁気励起に関するラマン散乱測定にも現れている。本研究に用いた、磁性原子を含むII-VI族化合物半導体では従来から、スピングラス転移温度直上での熱残留磁化(Themoremanent Magnetization;TRM)が知られて居り、グリフィス相と呼ばれる短範囲磁気規則相の動的な磁化過程が知られてきた。昨年度、Zn_<0.6>-Mn_<0.4>Te単結晶中性子回折測定のよって、スピングラス転移温度以上でも、FCC格子を基本格子するタイプIIIの磁気短範囲規則性が明瞭に存在することが、本申請者らによって発見された。この磁気短範囲規則性は固有の散漫散乱強度を逆格子点11/20点(即ち、ブルリアン帯域境界のW点)近傍に作る。この磁気規則性にはTRMのような動的な性質も伴う事から、他の臨界現象に見られるような低エネルギー励起の存在が予想された。 この予測に基づき、今期は単結晶冷中性子散乱測定によって、低エネルギー磁気励起を測定した。測定は1.5Kから200Kまでの各温度で行った。測定の結果、予測通りW点近傍にスピングラス転移温度近傍で磁気準弾性散乱と見られる強度が現れた。この散乱強度は半値幅約0.5meVのローレンツ関数的な分布を示している。更に、光励起による電気伝導度の変調が昨年度の実験から示唆されていたので、今期、4885,5145および6328Åのレーザー光を入射して、室温から10Kの温度範囲で直 流と交流双方によって電気抵抗測定を行った。その結果、150K以下で、明瞭な持続的光伝導(Persisitent Photoconductivity;PPC)が発見された。
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