1995 Fiscal Year Annual Research Report
超音速気流場でのナノサイズ超微粒子の分級に関する研究
Project/Area Number |
07455434
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金岡 千嘉男 金沢大学, 工学部, 教授 (00019770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古内 正美 金沢大学, 工学部, 助教授 (70165463)
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Keywords | ナノサイズ超微粒子 / 慣性分離 / 尖い分離特性 / 超音速気流 / 薄膜製造 / ラバールノズル / バーチャルインパクター / 定在衝撃波 |
Research Abstract |
本研究では、収縮拡大ノズルである2元ラバールノズルによって超音速流れ場を実現し、超音速流れ場を利用した微小粒子の分離の可能性を実験的に検討した。この際、捕集前後の粒径毎の個数濃度を本申請備品のパーティクルカウンターで測定して、実験条件を厳密に管理した。また、粒子径、ノズル形状、粒子捕集板寸法が異なる場合のデータを用いて、捕集効率を一般化した。平板状と凸体状の捕集板を用いたときの捕集板表面の粒子堆積状態を現有の電子顕微鏡で観察し、薄膜製造に適した捕集板形状を検討した。さらに、気流懸濁状態で、粒子を高速気流に伴って流れる小径粒子と低速側に回収される大径粒子に選別できる、いわゆるバーチャル・インパクター形式による超微粒子分級の可能性について、流れの数値解析による検討を現有のワークステーションにより行った。 以上の検討から得られた結果は以下のようにまとめられる。 1)超音速流れ場を利用した分離装置を利用すると、従来の大気圧下で操作されるインパクターよりも、粒径に関する捕集効率曲線の立ち上がりが非常にシャープになった。また、クリアランスの逆数を乗じた修正ストークス数を用いると、スロート部に至るまでのノズル形状が同じものについて、捕集効率曲線がほぼひとつの関係に整理できた。本装置の最小50%捕集径は0.02μm程度であり、従来のインパクターの0.1μm程度と比べて大幅に向上した。 2)捕集板形状による堆積状態の差異は少なかったが、いずれも捕集板中心付近を厚さ最大として層状にかつランダムに堆積していることが確認された。また、粒子の付着状態は強固であり、薄膜製造プロセスの予備充填体として十分に使用可能と考えられる。一様厚さの薄膜製造を行う場合には、捕集面を気流に垂直な方向にスライドさせる等の工夫が必要と考えられるが、本方法による薄膜形成の可能性が示された。 3)物体周りの超音速流れ場の数値解析から、バーチャルインパクター形式の装置による超微粒子分級の可能性が示された。 4)貯気槽圧を減圧することにより、捕集可能な下限粒径を小さくできることが明らかとなった。また、この効果は、減圧によるガス分子の平均自由行程の増加から理論的に予想されるものとほぼ一致した。
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