1996 Fiscal Year Annual Research Report
発光性白金平面錯体のミクロ環境認識機能創製とそのDNAプローブとしての応用研究
Project/Area Number |
07455438
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
星野 仁 東北大学, 工学部, 助教授 (20124620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 徹 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (40186945)
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Keywords | 白金錯体 / 室温リン光 / 発光プローブ / ミクロ環境 / 界面活性剤ミセル / 長寿命発光 |
Research Abstract |
8-キノリノラト誘導体‐白金(II)錯体の発光特性をミクロな場や環境の識別と評価に利用することを目的とする.生体内ミクロ環境であるDNAとこれら錯体との相互作用を環境の変化として検出定量化しようとするものである. 今年度は8-キノリノールを基本骨格とする配位子系とミセル系の探索実験を行なった. 1. 8-キノリノラト誘導体として,基本骨格の8-キノリノール,スルホン基を導入して水溶化した5-スルホ8-キノリノール,およびこれに重原子ヨウ素を導入したフェロン,また三座8-キノリノラト誘導体である2-(2′-ヒドロキシフェニル)-8-キノリノールを検討した.特にフェロン白金(II)錯体では,発光は陽イオン性界面活性剤中溶存酸素除去剤の存在下で,純水中酸素除去剤なしのものと比較して,約34倍もの著しい増感を受けた.また,発光寿命の測定を行った結果,5-スルホ-8-キノリノラト白金錯体ではその寿命は31μsにもおよび,これは他の金属錯体の溶液系でのnsレベルの発光寿命と比較して,かなりの長寿命である.以上のことより,本錯体の発光が配位子中心のリン光性であることが示された.今後の展開としてはこれらの錯体とDNAインターカレーション挙動の探索を行う予定である. 2.界面活性剤としては,これら錯体が無電荷およびアニオン性であることを考慮に入れ,第4級アンモニウムタイプのカチオン性界面活性剤,ポリオキシエチレン系および糖基を有する非イオン性界面活性剤について発光増感現象の検討を行なった.どの界面活性剤においても,発光の発現には臨界ミセル濃度(CMC)以上の存在が必要であった.非イオン性の中でも糖を親水基とするn-ドデシル-β-D-マルトサイドがもっとも優れた増感効果を示すことを発見した.媒体であるミセルの,錯体の発光特性への摂動と錯体-ミセル間の相互作用との関連をさらに詳細に検討する予定である.
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