1995 Fiscal Year Annual Research Report
作物葉へのカーボニックアンヒドラーゼcDNA導入による光合成能力向上の可能性
Project/Area Number |
07456008
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 龍一 東京大学, 農学部, 教授 (00011958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 治人 東京大学, 農学部, 助手 (60225886)
山岸 徹 東京大学, 農学部, 助教授 (50143409)
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Keywords | タバコ / カーボニックアンヒドラーゼ / 光合成 / 遺伝子組替え / 形質転換体 |
Research Abstract |
作物収量の向上のためには、ソース能力、すなわち光合成能力の改善が必要条件ある。本研究では、遺伝子組替え及び形質転換技術を用い、CO2+H2O【double arrow】H^++HCO3^-の反応を触媒する酸素、カーボニックアンヒドラーゼ(以下CA)を、タバコ葉肉細胞の細胞質に導入することにより、光合成能力を向上させる可能性を追及した。平成7年度に得られた結果の概要は次の通りである。 1)アグロバクテリウムを用いた遺伝子組替え技術により、マウスCAcDNAを導入したトランスジェニックタバコを作製した。これらの植物体についてゲノムDNAのPCR解析、mRNAのノーザン解析、および可溶性タンパク質のウェスタン解析を行ったところ、得られた植物体のうち23個体に、この遺伝子が安定に発現していることが確認された。 2)トランスジェニックタバコの自殖第1代の植物体について、その最上位展開葉における単位葉面積当り光合成速度を調べた。クロロフィル、可溶性タンパク質、Rubiscoの含量は、野性株のものと有為な差を示さなかったが、低CO2濃度における光合成速度は高くなる傾向が認められ、特にCAを強く発現した株では、野性株と比べて約9%高くなっていることが分かった。この光合成速度の促進派、高いCO2濃度条件下では見られなかったことから、葉肉内のCO2拡散抵抗がCAにより低下したために起こったものと考えられた。
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