1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07456014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩堀 修一 筑波大学, 農林学系, 教授 (00012055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弦間 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70094406)
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Keywords | ユスラウメ台 / 矮性台 / モモ / 光合成速度 / Sink |
Research Abstract |
モモの矮性台木の矮化機構を明らかにする目的で、共台とユスラウメ台(矮性台)の勘助白桃の接木1、3、7カ月後の芽接ぎ苗を供試し、JB-4樹脂包埋法で24μmの切片を作成して光顕で接木部組織の観察を行った。壊死組織層を伴ったカルス形成から維管束の連絡が行われる過程で、共台では6カ月を経過すると壊死組織はほとんどが吸収され、僅かに台木の新生木部および穂木のカルスと木部組織のみに認められたが、矮性台では残存壊死組織の量が多かった。管状要素は矮性台、共台とも接木部の新生木部中に縦横に走行し、その大きさ、数には両台間で顕著な差異は認められなかった。ついで、接木接合部のフェノール蓄積に焦点を当てDimethylaminocinnamaldehyde(DMCA)染色による組織化学的観察を行った。DMCA法はフェノールの組織内分布を青色、赤色で組織化学的に検出できた。接木1カ月後、矮性台ではカルス部分およびその周辺に青色に染色された柔細胞が多数存在し、多量なフェノール物質の蓄積を示唆した。矮性台では接木3カ月後も染色細胞は観察され、接合部のカルスは青色や赤色の染色細胞で包囲されていた。さらに、穂木台木間の皮層および篩部で亀裂が生じているのが顕著であった。このような部分の維管束形成層は壊死組織のために湾曲して発達し、新生木部を形成するが穂木台木間の連絡は完全ではなかった。共台でも青染色細胞に存在するが僅かであり、穂木台木間にカルスはなく、維管束形成層は完全に連絡して新生木部を旺盛に分化していた。以上の観察結果から、接木3カ月後も矮性台、共台ともに皮層部に青染色細胞が認められるが、矮性台では顕著な壊死組織が皮層部、篩部にあるため穂木台木の接合がうまくいかず、新生木部を分化する形成層活性を阻害しているものと考えられた。
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