1996 Fiscal Year Annual Research Report
絹糸昆虫類における吐糸・営両行動制御機構に関する研究
Project/Area Number |
07456034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
木口 憲爾 信州大学, 繊維学部, 教授 (50262697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 勝 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10021164)
金勝 廉介 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60092871)
三浦 幹彦 信州大学, 繊維学部, 教授 (60135168)
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Keywords | カイコ / エビガラスズメ / テンサン / 吐糸 / 営繭行動 / 内分泌 / コンピューターグラフィックス |
Research Abstract |
1.繭形の形成過程を2台のVTRで連続撮影し、画像解析により行動特性の経時変化を調べた。その結果、カイコ幼虫は、足場作りから繭外枠作成にかけては比較的速い速度で吐糸領域を縮小していき、その後徐々に繭の大きさに収束させていくこと、繭の中央にくびれが生じる蚕品種では、幼虫が繭内部から体を伸縮させて繭を押し広げる行動が頻繁にみられることが明らかになった。また繭の形状をBookstein形状変数、フーリエ級数、Cassini卵形線および長幅率等で表示し、種種の繭へのあてはめを試みた。現在、それぞれの利点と欠点について検討を行っている。 2.カイコ幼虫の体節にテ-ピング処理を施すと繭形が顕著に変化する。この現象を利用して、VTR撮影と3次元画像解析により、行動変化と繭形変化との関連性を追究した。繭形が丸くなる第5体節にテ-ピングした場合には、対照に比べて吐糸速度が遅くなること、体の前半部分の動きが小さく、吐糸領域が狭くなること、第5体節と頭部および尾部のなす角度が大きくなること、繭中におけ幼虫の方向転換の頻度が少なくなること、等が明らかになった。現在、繭形が細長くなる第8体節にテ-ピングした場合の行動特性を解析中である。 3.カイコの吐糸行動を支えるエネルギー源を知る目的で、吐糸期における糖質量の経時変化を調査した。その結果、血液中のトレハロース含量は、吐糸開始後16時間の間に12mMから4mMまで減少すること、脂肪体中のグリコーゲン含量は吐糸中23%から3%まで直線的に減少することが明らかになった。現在、呼吸商の測定と各種生体成分の代謝回転の面から吐糸期のエネルギー代謝の特徴を解析中である。
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[Publications] 霜田政美: "エビガラスズメとカイコの共用人工飼料の作出" 日本蚕糸学雑誌. 65. 21-30 (1996)
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[Publications] 三浦幹彦: "度数データを利用した繭糸解じょ糸長の解析" 日本蚕糸学雑誌. 65. 137-140 (1996)
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[Publications] 本田憲秀: "蚕の繭形形成過程の解析(第4報):押し広げ行動の解析" 日本蚕糸学会中部支部講演集. 52. 9 (1996)
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[Publications] 左近輝行: "玉繭作成時における二頭の蚕の行動特性" 日本蚕糸学会中部支部講演集. 52. 10 (1996)
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[Publications] 清澤真琴: "テ-ピングした家蚕幼虫の吐糸行動の3次元画像解析" 日本蚕糸学会中部支部講演集. 52. 12 (1996)
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[Publications] 清澤真琴: "神経切断及びテ-ピングによる家蚕の蛹化遅延について" 日本蚕糸学会中部支部講演集. 52. 13 (1996)