1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07456044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 眞狩 東京大学, 農学部, 教授 (60011889)
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Keywords | Usol蛋白質 / ユイルドユイル蛋白質 / 蛋白質細胞内輸送 / ブレフェルデインA / 酵母菌 |
Research Abstract |
我々はこれ迄に「真核細胞における蛋白質細胞内輸送」過程を解析するにあたり、(1)酵母細胞の温度感受性分泌変異株usol-lを用いた解析、(2)輸送阻害剤を用いた、解析、を行なってきた。本年度の成果は次の通りである。(1)usol変異株関係では、Usol蛋白質(Usolp)を精製し、その形状を電子顕微鏡で見ることに成功した。Usolpは1790アミノ酸よりなる細胞質蛋白質であるが、今回の電子顕微鏡観察でミオシン重鎖に酷似した形状であることが判明した。USOl遺伝子の塩基配列の決定から導き出されたアミノ酸配列からN末半分が頭部を形成しC末半分がα-ヘリックスを形成し、この部分で2分歯子が絡み合ったコイルドコイル蛋白質であることが推測されていたがまさにその通りの構造をしていた。次に、Usolpの機能であるが、usol-1変異を抑制する4種のサプレッサー遺伝子見出だされた。この内の2つは小胞体・ゴルジ体間の輸送小胞膜上にあるv-SNAREといわれる蛋白質の遺伝子であり、1つはゴルジ体膜上にあるt-SNAREという蛋白質に結合している蛋白質であった。v-SNARE、t-SNAREは小胞がターゲット膜と融合する際に融合相手を確認する分子であるところからUsolp輸送小胞がゴルジ膜に融合する過程に働くことが予測される。(2)輸送阻害剤としては従来からブレフェルディンA(BFA)を用いてきた。分裂酵母は0.004%のドデシル硫酸ソーダの存在下でBFAに感受性である。多コピーでBFA耐性を与える分裂酵母の染色体DNA断片をクローン化して解析を進めてきた。この中にはBFAのターゲットの遺伝子が含まれていると考えたためである。今回解析したDNA断片中にはbfr2^+と命名した遺伝子が存在した。この遺伝子は既に報告されているpadl^+遺伝子と同一であった。この遺伝子産物は転写因子papl蛋白質を活性化することが分かっていた。そこでbfe2^+はpapl蛋白質を活性化し、我々が先に見出だしたBFA耐性に関与する多剤耐性遺伝子bfrl^+の転写を促進してBFA耐性を現すのではないかと考えて実験を行っなったところ、まさしくその通りであることが明らかとなった。
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[Publications] Kenji Nagano: "bfrl^+,a novel gene of Schizosaccharomyces pombe ehich confers brefeldin A resistance,is structurally related to the ATP-binding cassette superfamily." J.Bacteriol.177. 1536-1543 (1995)
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[Publications] Hisashi Yamakawa: "Usol protein is a dimer with two globular heads and a long coiled-coil tail" J.Struct. Biol.(印刷中). (1996)