1996 Fiscal Year Annual Research Report
n-3及びn-6系不飽和脂肪酸種のリン脂質への取り込みの選択性に関する研究
Project/Area Number |
07456062
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鬼頭 誠 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (60027183)
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Keywords | n-3系不飽和脂肪酸 / n-6系不飽和脂肪酸 / リン脂質 |
Research Abstract |
チャイニーズハムスターV79-R細胞が生育する脱脂培地にn-6系不飽和脂肪酸種であるリ-ノル酸及びn-3系不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸を種々の比で加え、これらの脂肪酸種のオフガネラ膜リン脂質への選択的取り込みを調べた。 リノール酸が細胞内に取り込まれた時、炭素数2個延長した脂肪酸には転換されたが、さらに不飽和化されることはなかった。一方、ドコサヘキサエン酸は変化しなかった。これらの脂肪酸はミトコンドリア、小胞体、形質膜のホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンに取り込まれた。そして、ドコサヘキサエン酸は何れのオルガネラリン脂質においても、ホスファチジルエタノールアミンに極めて選択的に取り込まれた。このことは平成7年度に報告した細胞全体のホスファチジルエタノールアミンへのドコサヘキサエン酸の選択的取り込みを支持している。一方、リノール酸は何れのオルガネラにおいても、ドコサヘキサンエン酸よりは遙かに優先的にホオスファチジルコリンに取り込まれた。このことも平成7年度の報告に示した細胞全体のホスファチジルコリンへの取り込みの選択性を支持している。 以上のように、本研究によってn-3系及びn-6系不飽和脂肪酸種はリン脂質種特異的に取り込みの選択性を持つことが明らかとなった。このことは生体膜におけるリン脂質種の役割は、極性頭部の違いに加えて脂肪酸側鎖の違いが加算されて機能していることを示すものである。
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Research Products
(1 results)