1996 Fiscal Year Annual Research Report
釧路湿原周辺の土地利用変化に伴う土砂流入と湿原植生の変化
Project/Area Number |
07456065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 太士 北海道大学, 農学部, 助教授 (90172436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 浩一 北海道大学, 農学部, 助手 (50261334)
矢島 崇 北海道大学, 農学部, 助教授 (90142702)
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Keywords | 湿原 / 土地利用 / ウォッシュ・ロード / 湿原植生 / 浮遊砂 / Cs-137 / ヤチダモ |
Research Abstract |
本年度は、昨年度からの調査を継続し、年間あたりの浮遊砂流下量を4つの定点にて観測した。浮遊砂流下量を算定するために測定した内容は、自記記録計による河川水位と濁度、さらにウォーターサンプラーによる濁水採取である。これらのデータについては、現在定量測定中であり、年間の総流砂量、年間を通じた季節変動を明らかにするつもりである。湿原内に氾濫堆積する微細土砂の局地的生産源としては、渓岸崩壊があげられ、これらの分布およびサイズに関し現地計測した。その結果、最上流の観測地点(St.1)を流れる浮遊砂量の約48%がこれらの生産源から流出したと考えられる一方、St.2では約16%にとどまり、他の生産源たとえば農地浸食などの影響が示唆された。湿原流入部に堆積する細粒土砂については、不定根および放射性降下物(Cs-137)をつかって、その堆積速度を測定した。これによると、河川改修が実施された久著呂川においては、年間4〜5cm程度で過去30年で100cm以上の堆積が見積もられた。さらに河川改修のなされていないチルワツナイ川では、年間2〜3cm程度、過去30年では60cmの堆積厚が見積もられた。こうしたCs-137を指標とした解析の有効性が検証でき、今後は生産源(たとえば崩壊地土砂や農地土壌)および流下土砂のCs-137を測定し、生産源をさらに詳しく調べる予定である。土砂氾濫に対する大本群落の応答についてはヤチダモの年輪を使って解析した。その結果、変動係数と平均年輪幅の間に正の相関が認められる久著呂川と負の相関を示す対照地・チルワツナイ川に区分できた。久著呂川では個体レベルの成長にバラツキはあるものの、増減傾向は一致しており、ピーク値を示す年代と大雨記録とはよい対応を示した。成長が良くなる理由としては、乾燥化、栄養化が示唆された。
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Research Products
(1 results)