1997 Fiscal Year Annual Research Report
気温変動が常緑広葉樹林の物質循環に及ぼす生理・生態学的研究
Project/Area Number |
07456069
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
生原 喜久雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (00014960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 浩人 東京農工大学, 農学部, 助手 (00237091)
小池 孝良 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10270919)
相場 芳憲 東京農工大学, 連合農学研究科, 教授 (00014944)
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Keywords | 地球環境 / 温暖化 / 常緑広葉樹 / 物質循環 / 無機化 / 蒸散量 / 土壌呼吸 |
Research Abstract |
北限に近い干葉県にあるマテバシイ林およびスダジイ林の物質循環についての継続調査およびとりまとめを行った。その結果、緯度と地上部の現存量、リターフォール量(窒素量)の間には、負の相関がみられ、21世紀に3±1.5°Cの増加で、北限の照葉樹林の地上部のバイオマスは17%増加し、リターフォール量およびリターフォールに含まれるN量はそれぞれ15%、19%増加すると推定した。また、北限に近い照葉樹林の特徴として、A_0層量が多く、着用年数も3年と長く、少ない葉への養分配分で、高い純生産を行い、効率の良い成長がみられた。 北限に近い、照葉樹林の土壌の窒素無機化速度は、土壌温度30°Cで頭打ちになるが、南限の窒素無機化の速度は、30°C以上になるとさらに増加する。このように、北限と南限では窒素無機化特性は大きく異なった。 スダジイ林およびマテバシイ林の全炭素量に対する可分解性炭素量はスダジイ林で8〜14%、マテバシイで18〜20%で、この値はスギ林たヒノキ林の2倍であった。マテバシイ林の土壌は可分解性の有機物量を多く含んでいるが、それを分解するには熱エネルギーを多く必要とする有機物であるなど、照葉樹林の有機物の分解特性を明らかにすることができた。 大気条件の2倍のC0_2濃度にした場合、樹種によって葉やシュートは異なった。2倍のC0_2濃度で、土壌に栄養が少ないと、古い葉から黄変するタイプと全葉が同時に黄緑色になるタイプ、側枝の伸長するタイプなど、樹種によって異なることが明らかになった。 その他、北関東の温帯落葉広葉樹林での養分集積状態と養分循環についても明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)