1995 Fiscal Year Annual Research Report
広葉樹の樹幹形態及び形成層活動の制御機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07456073
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 福壽 鳥取大学, 農学部, 助教授 (60112322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 郁夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (50032313)
中村 輝子 日本女子大学, 理学部, 教授 (30060651)
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Keywords | 広葉樹 / 形成層 / 引張アテ材 / ジベレリン / ウニコナゾール |
Research Abstract |
一般に広葉樹が傾斜すると幹の上側の形成層活動が盛んとなり、引張アテ材が形成される。広葉樹の引張アテ材形成機構については不明な点が多いが、最近の報告では、枝垂れ性のサクラ属樹木がジベレリンを処理することによって直立性を回復することを明らかにし、枝垂れ性には引張アテ材形成不全が関与することを見いだしている。本研究では、広葉樹の引張アテ材形成におけるジベレリンの役割を明らかにすることを目的として、水平に位置した苗木の姿勢変化、および引張アテ材形成におよぼすジベレリン処理、さらにジベレリン生成阻害剤であるウニコナゾール処理の影響を検討した。実験には2年生ヤチダモの実生苗木を用い、水平に置いた苗木の腋芽に対してウニコナゾールPを50%アセトンで希釈し、1〜100mg/5μlの濃度範囲で滴下した。さらにGA3およびGA4処理もウニコナゾールP処理と組み合わせて処理した。この結果、倒置したヤチダモ苗木は時間の経過とともに立ち上がる傾向を示すが、ウニコナゾール処理区では姿勢回復は強く抑制された。このような抑制効果はジベレリンを与えることで打ち消された。ウニコナゾール処理は内生ジベレリンの生成を抑制していると予想されることから、ジベレリンは広葉樹の姿勢回復に重要な役割を果たしており、特に引張アテ材形成に関係が深いものと考えられる。またウニコナゾール処理は葉面積の拡大やクロロフィルの増加をもたらすことがわかった。これらの現象は樹体内のジベレリン濃度低下に起因するものと考えられる。
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