広葉樹の樹幹形態及び形成層活動の制御機構に関する基礎的研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07456073
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Tottori University
• Principal Investigator: 山本 福壽 鳥取大学, 農学部, 教授 (60112322)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 古川 郁夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (50032313) ; 中村 輝子 日本女子大学, 理学部, 教授 (30060651)
• Keywords: 広葉樹 / 形成層 / 引張アテ材 / ジベレリン / ウニコナゾール

Research Abstract

(課題1)樹幹形態、木材形成、及び材質に及ぼす環境因子の影響についての生態生理学的解析:
(1)重力ストレス処理(幹の傾斜)によるTension wood形成=直立のメカニズムを植物ホルモン等の処理によって調べ、ジベレリンが傾斜した幹の立ち上がりを決定していることを見出した。また形成層における重力センサーとして、カルシウム・イオンが重要な役割を果たしていることを証明した。
(2)ハンノキを用いて根圏の酸欠ストレスが引き起こす過剰なエチレン生成と根株部の異常肥大現象との関係を明らかにした。特に木材形成の異常昂進時にはオーキシン-エチレンの相互作用が関与することを明らかにした。
(課題2)樹幹形態及び木材形成調節機構の生理学的・分子生物学的解析:
(1)Prunus属を含めた枝垂れ症を示す複数の樹種を用いて枝垂れのメカニズムを調べ、引張アテ材(tension wood)形成不全がその原因であること、ジベレリン処理は枝垂れ症の回復=引張アテ材の形成に決定的な役割を果たしていること、枝垂れ症の発現には頂芽から幹へのジベレリンの移動不全が問題であることなどを明らかにした。
(課題3)樹幹形態及び材質に影響する異常構造材形成機構の組織解剖学的解析:
(1)課題(1),(2)で形成されるTension woodの組織構造的特性と形成のプロセスを検討し、ジベレリンはセルロースの合成やミクロフィブリルの配向を決定しており、ウニコナゾールによるジベレリンの生合成阻害はセルロース合成を強く抑制することを認めた。